2018.05.16

袋井の防潮堤

少し前になりますが、3月7日に袋井の防潮堤を見学しました。袋井市建設課の加藤様、中村様に案内いただきました。この場をお借りして、お礼申し上げます。防潮堤を見学しようと思ったきっかけは、袋井建設業協会の方々とお話をしていると、防潮堤がよく話題に上ったからです。静岡県は防災に対してことのほか敏感でなければなりません。静岡県で初の建築学科ということもあって、防災は教育カリキュラムの中で重要な位置を占めます。さらには、大学の目の前で工業団地のための造成工事が進んでおり、そこの山を切り崩した土砂が海岸まで運ばれて防潮堤の建設に用いられているということも聞いていました。このようなことから、防潮堤の工事現場を見学してみようと思い立ったわけです。

防潮堤 航空写真 2018年1月

防潮堤 航空写真 2018年1月

上の写真は袋井市建設課からいただいた資料の抜粋です。幅60~70m、高さ12mの防潮堤が5.35kmの長さで連続します。袋井市が接する海岸線の全域に相当します。防潮堤の西端は磐田市の、東端は掛川市の市境に接します。万里の長城のような光景です。下の図は防潮堤の断面図です。赤く塗られた部分が袋井市が担当する盛土の工事範囲を示しています。その上の緑の部分が、静岡県が受け持つ植栽用の盛土工事と防風工事、植栽工事です。こうして海面+12mの高さの防潮堤が築かれます。

防潮堤 断面図

土砂運搬計画

この防潮堤を築くのに必要な土砂の総量は120万m3です。その半分の60万m2が大学の隣の豊沢工業団地の造成地からの発生土で賄われます。豊沢工業団地から海岸までの運搬距離は約8kmあります。10tダンプで1日240往復して丸2年掛かる計算です。参考に、豊沢工業団地の計画図と全景写真を載せておきます。

豊沢工業団地 全景 2018年5月

豊沢工業団地 計画図

私たちが3月に防潮堤を見学したとき、静岡県による松の植栽工事が進んでいる最中でした。防風のための柵を築いて土地が区画されます。その区画ごとに、松の苗木が1本1本、丁寧に植えられてゆきます。

防風柵で囲まれた区画に、松の苗木が植えられてゆく

この光景を目にして、私は、三保の松原を袋井に作っているのだと感じました。富士山は、清水の港からの距離に比べてだいぶ離れていますが、小さく見えるはずです。年月とともに松は成長し、ここには延長5kmに及ぶ松原が出現します。防潮堤を作っているというよりは、浅羽の松原を作っているのだと思いました。遠州灘に面したこの地区は袋井市と合併する以前は浅羽町でした。

三保の松原

三保の松原