うめた講座 ~回路図とGND~

回路図の読み方

今回は電気電子回路図の読み方を学びます. 小学校の理科で回路図を見たことがあると思います. しかし,多くの場合,その知識だけでは一般的な回路図を読むことができません. といっても,回路図は,単に,電気電子部品同士のつながりを表しただけであり,難しくありません. 一般的な回路図に登場する新たな記号の見方を説明します.

今までに見たことのある回路図と大きく違う最初のポイントは,電源周辺の表記です. 例えば,こんな回路図があります.
回路図1
左側に電池があり,右側に抵抗があり,それらがつながっています.
この回路図はたいていの場合,以下のように表記されます.
回路図2
電池のプラス側の線がVCCという記号に置き換わり,マイナス側はGNDという記号になりました. 線が記号に置き換わりましたが,上の回路図と,全く同じ回路を表しています. つまり,同じ記号同士はつながっているということです.

では,なぜわざわざ置き換えるのでしょうか.次に,こんな回路図があったとします.
回路図3
左側には先ほどと同じように,電池があります. しかし右側にはたくさんの抵抗が並列つなぎになっていますね. これをVCC記号とGND記号に置き換えると,次のようになります.
回路図4
スッキリしたと思いませんか? もちろん,上の回路図とこの回路図が表している回路は全く同じです. VCC記号同士は全てつながっており,GND記号同士も全てつながっています. しかし,一見すると,電池と一つ一つの抵抗が独立しているように見えますよね. 回路が複雑になればなるほど,電池に何らかの抵抗を並列つなぎにする場合が多くなってきます. これがもし,100個も並列つなぎをするならば,回路図は複数枚になるでしょう. このとき,VCC記号やGND記号を使わないで書こうとすれば,大量の線でグチャグチャになってしまします. これを避けるために,記号を使うのです.このような記号を回路記号と言います.

同じ記号同士はつながっている
たくさんの並列つなぎを記号で表すと見やすい
このような記号を回路記号と呼ぶ.

GNDの概念

さて,電源周辺の記号を読み取ることができるようになりました. 同じ記号はつながっているという意味でした.このときGNDには特別な意味があります. それは,GNDはその回路の基準電位であるということです. なお,GNDは「グランド」と読みます.

聞きなれない言葉が出てきました.ずばり電位という言葉ですね. 「電圧」という言葉と似ていますが,異なった概念です. 「電圧」は「電気を送り出す力」という解釈でOKです. それに対して,「電位」は「任意の基準に対する,電気を送り出す力」と解釈できます. ただし,電磁気学における定義をかなり噛み砕いた表現で説明しており,人によっては違う解釈としている場合があるので,注意してください. 電圧と電位は,同じ「力」を示しているので,同じ単位となります.

では,GNDの話に戻ります.つまりGNDは,その回路上のある場所の電圧を決めるための基準となる場所を示すのです. また,このGNDは回路の設計者が自由に作ることができます. 次の回路図を見てください.
回路図5
この回路図では,電池のマイナス端子がGNDとなっています.このとき,電池のプラス側はGNDに対して電位を持っています. 電池の作り出す電圧が1.5Vなら,電池のプラス側は1.5Vの電位であると言えます.

GNDは回路の設計者が自由に作ることができるので,もちろんこんなこともできます.
回路図6
電池のプラス側をGNDとしてみました. このとき,電池のマイナス側はGNDに対して電位を持っています. 電池の作り出す電圧が1.5Vなら,電池のマイナス側は-1.5Vの電位であると言えます. 回路図に慣れてきている人は,不思議に感じるかもしれません. 電気電子回路入門者の多くは「GNDは電池のマイナス」と覚えてしまっているからです. しかし,これは大きな勘違いです. GNDは,あくまでも回路設計者が設定する任意の基準であり,その回路上のどこに設定しても問題ないのです. ただし,一般的な回路は,電池のマイナス側をGNDとしています. これは,回路上で電位の一番低い部分をGNDとすると,GND以外の場所の電位が全て正の値となるため,電気の流れを考えやすくなるからです.

GNDに対する正しい認識があれば,こんなこともできると分かります.次の図を見てください.
回路図7
まず電池を直列つなぎにし,抵抗につなぎました. このとき,電池1個の電圧を1.5Vとすると,抵抗には3.0Vの電圧がかかっています. ここで,直列につないだ電池と電池の間(B点)をGNDとすると,A点は+1.5Vの電位,C点は-1.5Vの電位と見ることができます. もちろんこのときも,抵抗には+1.5と-1.5との差し引き,3.0Vの電圧がかかります. 一般的に,マイナスの電位をマイナス電源などと言います. 「マイナス電源はどうやって作るの?」と言っている人がいたら,GNDの概念が分かっていません. 単に,GNDの位置を変えるだけで作ることができるのです. やさしく,教えてあげましょう.

いかがでしょうか. GNDの概念について,少しは理解が深まったのではないでしょうか. まだピンと来ていない人もいるかと思いますが,「GND」は回路図を読み解く上で,もっとも重要な要素と言えます. 電気電子回路を触っていて,GNDの概念が分かっていないと,必ずいつかつまずきます. 簡単な回路が作れるようになり,更なるステップアップを目指したとき,もう一度「GND」について学んでみると良いでしょう.

GND(グランド)はその回路の基準電位
GNDはその回路の設計者が自由に作ることができる.
GND≠電池のマイナスであり,GNDの位置でマイナス電源を作ることができる.
GNDはとても重要な概念

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