テーマ: 筋力トレーニング後のEMSが筋力および筋量に及ぼす影響 氏名 小出

【はじめに】
近年、トレーニング人口の増加で、さまざまなトレーニング器具が広まってきている。そのようなトレーニング器具の中に、筋肉に電気を流し収縮させるEMSという器機があり、先行研究では筋力向上の効果を報告している。しかし、通常の筋力トレーニングとEMSを組み合わせた効果を調査した研究を見つけることができなかった。

【目的】
本研究の目的は、運動習慣を持たない学生を対象に、通常の筋力トレーニング後にEMSをすることによって、除脂肪体重,皮下脂肪厚,周径囲,筋力への効果を明らかにすることであった。

【方法】
被験者は静岡理工科大学に在学している男子学生10名であった。被験者を2グループにわけ、一方のグループには筋力トレーニング後にEMSを行い(EMS群)、もう一方のグループには筋力トレーニングのみ(コントロール群)を行った。筋力トレーニングは、6週間,週に2回,全12回行い、トレーニング後には2日以上の休息期間をあけた。トレーニング内容はオルタネイト・ダンベルカール,トライセプスキックバック,レッグエクステンション,ライイング・レッグカールで1RMの90〜80%の重量で各5回を1セットとして、それを2セット行った。その後、EMS群には左右の上腕二頭筋,上腕三頭筋に、そして大腿では左右の内側広筋,外側広筋にEMS装置の電極パットを装着し、上腕5分,大腿5分の計10分のEMSの刺激を行った。トレーニング開始前と開始後2〜3日間の期間をあけて身長,体重,皮下脂肪厚,体脂肪,上腕,大腿の周径囲と最大周径囲,腕力,脚力,トレーニング種目の1RMの測定をした。また、トレーニング期間の中間に1RMの測定を行い、その結果に上昇が見られた場合は、その1RMを元にその後のトレーニングを行わせた。

【結果および考察】
トレーニング実験の結果から、有意な差はみられなかったが、EMS群の左大腿周径囲,左最大周径囲に増加傾向がみられ、この左大腿の周径囲,最大周径囲の変化量においてはEMS群の方が有意に大きな値が認められた(p<0.05)。一方、有意な差ではなかったもののEMS群の方に除脂肪体重の増加傾向があり、トレーニング後の変化量もコントロール群よりも高い傾向がみられた。EMS群の大腿囲の増加は、除脂肪体重の増加傾向、つまり筋肉量が増加したためではないかと考えられる。また、レッグエクステンションの1RMのようなアイソトニックな筋力では、有意な差こそみられなかったもののEMS群に増加傾向がみられ、実験後の変化量でもEMS群に高い傾向がみられた。さらに、筋力測定台を使用して行ったアイソメトリックな膝伸展の脚力でも、EMS群の左脚の膝伸展の脚力の高い傾向がみられ、トレーニング後の変化量でもコントロール群よりもEMS群の変化量に高い傾向がみられた。したがって、左脚の膝伸展の脚力の増加傾向がみられたのは、EMSによる筋肥大に伴う筋肉量の増加が影響したのかもしれない。

【結論】
以上の結果より、筋力トレーニングにEMSを加えることによって、筋力トレーニングのみを行うより、筋肥大に伴う筋肉量の増加が期待できるのではないかと考えられる。