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天然物化学研究室(鎌田研究室)

 生物は様々な化学物質を生産しながら生きています。このうち、生命活動に必須ではない種特異的な化学物質は二次代謝物と呼ばれています。私たち人類は古来より、こうした二次代謝物を薬、毒、染料そして香料として利用してきました。天然物化学とは、動植物や微生物が生産している物質を分離して、その物質の構造と機能を解明する有機化学の一分野です。私と天然物化学の出会いは今から約15年前、大学院修士課程の時でした。当時の自分は学業よりも遊ぶことを優先していたのですが、実験指導をして頂いた石井先輩(現琉球大学准教授)から言われた一言があって化学実験の楽しさに気が付きました。それは、「卒業するためには実験をしなくてはいけない。どうせやらなければいけないのだから、せっかくなら楽しく実験しよう!」ということです。この言葉がきっかけとなり付着珪藻阻害活性試験を行ったところ、複数種の紅藻ソゾ抽出物に顕著な活性が認めらました。そこで、それらのサンプルから化合物の精製・単離を試みたところ、臭素や塩素といったハロゲン原子が含まれるテルペンを複数種発見することとなりました。その後社会人を経て、海外で博士課程に入学することになった私は、新婚であった石井先輩の家に1か月間居候させてもらうことになりました。生活費を手渡ししようとした私に、「恩を感じたのならばそれは自分にではなく、次に来る誰かへ返してくれればいいから。」と言って下さった石井先輩は今も私のヒーローです。
 天然物の探索は「ものとり」とよばれ宝探しに例えられることが多いです。世界で初めての化学物質を発見するという魅力に魅せられて以来、今日まで研究を続けてきていますが、どのような生物資源を対象とするのかということに研究者の独自性とセンスが要求されます。私は、海藻のソゾを中心としながら、軟質サンゴ、アメフラシそして陸上の苔類等から「ものとり研究」を行っています。その舞台は、日本のみならず熱帯のマレーシア・ボルネオ島にまで及びます。この度、アカデミックポストの削減で若手研究者にとってはなかなか思い通りの研究・教育をする場が不足している中で、大きなチャンスを頂きました。このチャンスを活かし、遠州地方で手付かずだった未・低利用生物資源から私たちの生活に役立つ有用な新規化合物の探索を行っていきます。幸い、本学の位置する袋井市は、静岡市と浜松市という二大都市に囲まれながら、その周辺には天然物資源の豊かな海と山があります。この遠州で学ぶ学生たちと共に、まずはやってみるという「やらまいか精神」のもと、楽しみながら「ものとり研究」をしていく所存です。


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