研究室の挑戦

目指すは、“気の利いた”AI執事がいる暮らし【加藤研究室】

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知能情報システム研究室 担当:加藤丈和准教授

”目指すは、”気の利いた”AI執事がいる暮らし
 

AIの研究がはじまったのは1950年代のこと。それから半世紀強経った今、AIは暮らしに欠かせない存在になりつつあります。

この進化を飛躍させたのが電気電子工学による、現実世界を認識するセンシング技術とセンシングした結果を制御する
アクチュエータ技術。つまり、AIという情報世界を現実世界につないだものが電気電子工学です。
知能情報システム研究室では、人間の行動や嗜好を理解してアクションを起こす、気の利いた知的な情報システムの実現に挑みます。



現実世界と情報世界を融合する電気電子工学とは



AIと私たちをつなぐ電気電子工学
近年、めざましい進歩を遂げるAI(人工知能)。このAIというコンピュータと実世界をつなぐ役割を果たしているのが電気電子工学です。電気電子工学には、まず電気を「パワーやエネルギー」として扱い、電力を生み出したり運んだりする電気工学と、電気を「情報を伝える信号」として扱い、現実世界を認識する電子工学があり、この2つを接続する回路技術を加えたものが電気電子工学という学問になります。つまり、電気電子工学とAIを融合させると、電子工学によって認識した現実世界の情報をAIに伝え、AIが理解・判断した内容を、電気工学によって現実世界に働きかけるというプロセスが成立します。AIを現実世界で活躍させるためには電気電子工学が欠かせない、と言えるのです。

人間の行動や嗜好を理解する時代へ
電気電子工学とAIを融合した技術は、あらゆる分野で活用されています。例えば、AIロボットやAI家電、自動運転車など。現在はそれぞれ独立した機械として機能していますが、今後はネッ トワークを介して機械同士がつながり、互いに連携しチームワークを発揮していくようになります。本研究室が目指しているのは、この技術を発展させ、人間の行動や嗜好を理解したうえで、能動的に行動する知的な情報システムの開発です。簡単に言うと、「賢く、気の利いた家」の実現。従来と大きく異なる点は、人間の行動を先回りできる点です。例えばスマートフォンなどに搭載されている音声認識検索システムは、まず何を検索してほしいのか機械にお伺いを立てる必要がありますが、私たちが目指すのは、お伺いを立てなくても事前に準備し、時に「こんなこともできますよ」と提案もしてくれるシステムなのです。



もしも、AI執事がいたら...?想像を現実にする未来をつくる

 
AI執事と電力マネジメントの実現
「賢く、気の利いた家」の登場によって、私たちの暮らしはどのように変化していくのでしょうか。例えば、自宅で映画を観ようとすると自動で照明の照度を下げてくれる、料理をしようとすると調味料を量ってくれる、寒い日は高めの湯温で浴槽にお湯を溜めてくれる、そんな暮らしに変化します。ポイントは、映画を観ようとしている、料理をしようとしているという人間のリアルな行動を察知して制御するということ。さらに、使用者の行動パターンを学習すると、帰宅時間が遅い日は、時短料理を提案する、シャワー浴を予測し浴槽にお湯を溜めないといった判断ができるようにもなります。機械の制御に人間が合わせるのではなく、人間の行動に機械が寄り添う。まるで専属のAI執事がつくような、快適で心地よい暮らしが実現するのです。また、電化製品をネットワーク化することで電力マネジメントが可能になり、電力の節約・一定化・効率化の促進にもつながります。例えば、人間の行動を察知して今重要ではない家電の電力を下げたり、電力制限値を超えないように電化製品への供給量をコントロールしたり。太陽光発電システムを搭載している場合は、余っている電力を無駄なく消費することも可能です。現在、余剰電力は電力会社が買い取る仕組みですが、その期間はFIT(固定価格買取制度)によって10年間に限定されています。実は、太陽光発電システムの普及により、天候や時間帯によってはむしろ電力会社に電力が余っているのが現状です。こうした背景もあり、これからは家レベルで電力をマネジメントしていくことが求められ、「賢く、気の利いた家」への期待も高まっています。

電気の動きで人間の行動を知る
機械が人間の行動を認識・予測するためには、カメラやセンサなどで人間の行動をデータ化し解析するのもひとつですが、プライバシーの観点から難しい側面があります。そこで着目したのが、家電の使用状況や使用量。現代においては、人間のアクションのほぼすべてが電気を使うことで成り立っているため、家電の動きを見れば人間の行動を認識できると考えました。この方法を取ることで、結果的に電力マネジメントも可能になります。 研究方法としては、研究室にリビングルームを作り、電化製品ごとにスマートタップを取り付け、ネットワークでつないでデータを一元化し、電力消費量の傾向を解析しています。


リビングの電力消費をタブレットで確認

“気が利く”って何だろう?
また、電力マネジメントの観点から研究を進めているのが「天候の予測」です。これは、カメラで雲の動きをとらえ、局所的な天候を数秒、1分単位で予測しようというもの。これが実現すると、電化製品への供給量と消費量をコントロールしやすくなり、よりハイレベルな電力マネジメントが可能になります。 「賢く、気の利いた家」の実現を目指す中でもっとも難しさを感じる部分が、そもそも“気が利く”の評価軸は何か、ということです。一人ひとり趣味趣向が異なる上、日によっても変わりますし、もっと言えば、人間同士でも難しいところです。この点において気づきを得たのが、電力マネジメントの実証実験結果です。家を借り、数日間人に住んでもらいシステム検証を行ったところ、消費電力を約30%下げることに成功しましたが、生活者にはその実感がまったくありませんでした。これはつまり、何のストレスも与えずに電力をコントロールができたという証でもあります。“気を利かせたことに気づかせない”システム。我々が目指すべきシステムの在り方なのかもしれません。
   
 
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