創造技法(発想法)

トップページ研究分野と周辺発想支援システム

創造技法の分類

発想の思考過程は、様々に考えを拡げる発散的思考過程と、或る方向に考えを纏める収束的思考過程に大別するという考え方があり、それに基づき創造技法も発散技法、収束技法に分類される。しかし、発散と収束は交互に現れたり、微妙に関連するため線引きの難しい面もある。両者を支援する創造技法として統合技法という呼び方もある。

例えばブレーンストーミングは代表的な発散技法であるが、その過程では、既に出た複数のアイデアを結びつけようとする心の働きが見られる事がある。これ等は、発散的思考の中に収束的思考が顔を出す例と言える。あくまで、発散技法とは主として発散的思考を支援する方法と捉えるべきである。

創造技法の分類は上記の他、提示する情報の数や扱い方による分類がある。或る題に関して全く自由に考える自由連想法、二つ又は少数の情報を提示して関係付けを要求する強制連想法、多数の情報を提示して漠然と考えさせる方法(KJ法等が典型)等に分類される。

また、演繹・帰納・アブダクションといった、使用される論理展開による分類も考えられる。特に、類推を用いる方法は類比技法と呼ばれる。系統図や樹形図のような特定の図形を用いる事を特徴とする技法も存在する。

ブレーンストーミング(Brain Storming)

或る題に関して思いつくまま自由にアイデアを列挙していく発散技法。これが「技法」とされるのは、以下のような原則のルールが存在する事による。

「自由奔放」「批判厳禁」「質より量」「便乗発展」(日本創造学会では「判断延期」を加え、「批判厳禁」は技法のステップとして扱っている。「便乗発展」は「結合改善」と言われる場合もある)。

一見テーマと無関係に思えるつまらないアイデアでも一切批判をせずに列挙していく。結論を出す議論ではなく、あくまでも発散的思考に徹する為の原則と言えるだろう。否定、反論は収束的思考には出て来るが、あらゆる可能性を考えるべき発散的思考ではむしろ障害になる。「便乗発展」は或る思いつきをさらに伸ばしていく効果がある。

形態分析法(Morphological Analysis Method)

米カリフォルニア工科大学のF.Zwicky教授が提案した発散技法。モルフォロジカル・チャートという図等を用いて考える。

例えば、新しい移動装置を考える時、燃料、材質、形状等、移動装置を構成する基本的な項目を「独立変数」として挙げる。次に各独立変数の具体例(下位概念)を「要素」として列挙する(例えば材質であれば鉄、プラスチック等)。要素の組合せがアイデアになるか検討する強制連想法の色彩が強い。図は「新しいコンサート」を考える例である。

モルフォロジカル・チャート

チェックリスト法(Checklist Method)

アイデアを出したい対象に予め用意した質問を当てはめ、発想を試みる方法。強制連想法とされる。質問としては、例えば対象に対し、「転用」「応用」「変更」「拡大」「縮小」「代用」「再利用」「逆転」「結合」の可能性を質問する(オズボーンの9チェックリスト)等が考えられる。

図は、材質や形状を「変更」、用途を「転用」した場合を示し、破線の矢印が其々「紙のマッチ」「丸いマッチ」「工作に使うマッチ」等の通常とは異なるマッチのアイデアを表す。木と紙は材質、長いと丸いは形状、着火と工作は用途の其々下位概念となっているが、形態分析法が独立変数の下位概念の組合せを考えるのに対し、チェックリスト法は必ずしも下位概念を用いるとは限らない。アイデアが出やすい質問を用意する事が鍵となる。

チェックリスト法の図解

KJ法(KJ Method)

一つの情報を一枚のカード(複数の情報を纏めて書かない)に記し、多数のカードをランダムに並べ、先入観を除外してぼんやりと眺め、関連がありそうと気付いた情報(図の同色円)を近くに配置する。何故、関係があると感じたのか理由を考えてみると、アイデアが具体化される場合がある。

情報が多数になると総当りの強制連想法は難しく、逆に幅広く眺めるこの方法が有効となる。考案者の故川喜多二郎氏は文化人類学者で、現地調査での膨大なデータを扱うため、この方法を考案したと考えられる。ブレーンストーミングでたくさんの情報を出した後に、この方法を使う場合も多い。代表的な収束技法である。

KJ法の概念図

NM法(NM Method)

類推を用いた類比技法である。類推は簡単に考えると、或る概念Aと共通点の多い概念Bがあるとき、概念Aにだけ観察される事象Cがあれば、概念Bも事象Cを持つのではないか、と推測する。これは左図のような有向グラフで表現出来る。

NM法では、アイデアを出したい対象に、例えば「どうしたいか」というキーワードを設定し(KW)、次にキーワードを共有概念とする別の概念を設定する(QA)、次に別の概念では何が起きているかを考えて新しい概念に相当するものを設定する(QB)。最後にQBで得られた新しい概念と、アイデアを出したい対象を結び付けてアイデアを得る(QC)。

右図は日本創造学会で説明に用いている「隠す事の出来る灰皿をどう作るか」に適用した例で、「忍者屋敷の扉のように灰皿を回転させて壁等に隠す方法」がアイデアとなる。なお、缶ビールのフタ(予め切り込みを入れ、簡単に開くようにした)は、この方法で発想されたと言われている。

類推とNM法の図解