知能インタラクション研究室(金久保研究室)での卒研テーマについて

3年後期の「情報セミナー2」では、4年次卒研の準備、先輩の研究の被験者、就職対策等を行います。
当研究室では、以下の内容を扱っています。
・組み合わせ型発想支援システム(言葉や画像を組み合わせて表示する事で、人間の「ひらめき」を促すようなシステムを作成する)
・進化型計算(遺伝的アルゴリズム)
・学習用ゲームの開発
上記カテゴリーの中で卒研テーマについては、自由に設定出来ますが、実現・指導可能で研究としての意味を持つものとなるように、教員側で調整します。テーマが決まらない場合は、教員側で指定します。
何処の研究室でもそうだと思いますが、分量の少なすぎる卒論は許されません。学部が指定する分量に達しない場合、ページ数があっても外部サイトの大量コピペ等がある場合は、卒研不合格となる事があります。
(以下に各内容を簡単に説明します。必ずしもプログラムが作成できなくても可能なものもあります。)

組み合わせ発想支援システム

優れたアイデアは、何らかの情報の組み合わせである場合が多い(殆どはそうと言える)。
直接的に組み合わせを考える創造技法として、形態分析法というものがある
図は、「新しいコンサート」を考える場合に、この方法を応用した例である

この創造技法では、新たな○○を考える際、その○○を構成する「項目」には何があるかをまず考える。
ここではコンサートの項目として、「楽器」「会場」「音楽のジャンル」を挙げている(この三つ以外にもまだいろいろあるだろうが、とりあえず三つで考えている)
次に其々の項目に、どのような「要素」があるかを設定する。この図では以下のようになっている(もっと多くの要素を挙げる事も出来るだろう)。
・楽器・・・オルガン、三味線、ピアノ
・会場・・・公園、ペデストリアン、屋上
・ジャンル・クラシック、ジャズ、雅楽、民謡
これだけで、3×3×4=36種類の「コンサート」の可能性があり、その全ての組み合わせから新しく面白いものを探そう、というのが形態分析法である。

しかし、項目や要素が増えると、全ての組み合わせを人間の眼で吟味するのは容易ではない。
そこで発想支援システム化が必要となる。上記の項目と要素をデータベースとして取っておき、最初は各項目について、一つの要素を適当に選んで組み合わせて表示する。
ユーザは、気に入った要素や組み合わせはチェックボタンで固定する。また繰り返しボタンを押すと、チェックされた所以外がランダムな要素に変わる。
これを繰り返す事で、全ての組み合わせを検討するよりはるかに効率よくアイデアに到達するのが、組み合わせ発想支援システムである。
以下は、当研究室の卒業生が制作した、「新しいキャラクター」を発想するためのシステムである。
人間(キャラクター)の項目として、体型・性格・職業・生い立ち、等の多くの項目を設定し、其々また多数の要素をデータベース化している。

組み合わせ発想支援システムの研究では、以下の点の工夫が重要で、良いものが開発できれば社会的有用性も高い。
・まず、新しい「何」を作るか(ここで良いものを考えつけば、半分は成功である)
・どのような「項目」「要素」を設定するか(数は多いほうが良いが、精選する事も劣らず重要)
・単純に組み合わせるだけでなく、効率のよい組み合わせが生じるようなアルゴリズム上の工夫(これが出来れば相当レベルが高い)
この例は、言葉を組み合わせているが、画像を組み合わせてもよい。AKB48の顔写真をランダムに4人組み合わせ、どういう派生ユニットを作ったら人気が出るかを考えるシステムがあってもよいのである。

進化型計算(遺伝的アルゴリズム)

組み合わせ発想支援システムでは、たまたま良く出来た組み合わせは人間が固定し、その部分は残し、他の部分を入れ替える。
このような事をコンピュータが自動的に行う計算方法として、進化型計算がある。一種の発想システムと言える。
しかし、生成された情報が良く出来たか否か、を自動的に判定する必要があるため、文学作品の創作等には応用できない。
例えば、行かなければならない地点がいくつかあり、どういう順番で回れば最短になるか、といった経路探索問題等にはよく応用されている。
下の図は、最短経路問題を遺伝的アルゴリズムで解いた例である。次第に無駄な動きが減って行くのがわかる。

進化型計算も応用例は広く、組み合わせの良し悪しの評価を自動的に計算できるものなら、何にでも応用できる。
今まであまり例のないユニークな問題への応用、その評価の計算手法の開発などは、価値の高い研究テーマであると言える。

学習用ゲームの開発

シューティング・ゲーム、マッピングゲーム等を工夫して、ゲームで遊んでいるうちに、自然と何らかの勉強が出来るものを開発する。例えば、問題が画面に表示され、正解を打ち落とすゲーム等が考えられる。
以下は、名言を勉強するSTGの例である。

他人の研究論文を読む事

意欲的な学生には、論文検索サイトの使い方をよくマスターして貰って、自分のテーマに関連のある研究論文を進んで調べて読む事をお勧めする。
学会の発行する学術雑誌に載る本格的な研究論文を読み込むのは、膨大な知識が必要で容易ではないが、理解できる範囲を少しずつ広げる事で、意外な面白さが見えてくる事があるだろう。