過去の卒業研究テーマ



 次のような分野のテーマで卒業研究をやってもらっています.これら以外の

分野のテーマについては相談の上決めます.

 

 ・複雑性指標分析,共出現紐帯によるネットワーク分析などによるもの


    経済物理学,地震学,科学社会学などの題材,


    引用分析,内容分析,学会共属分析,相互情報量分析など


 ・行動経済学,確率の認知心理など
   
    不充足理由律,多重共線性の数理,期待効用原理など


 ・多変量解析によるもの

   統計的文体論,計量文化学(絵画,建築,歴史,地理など),数量化理論,

   文化系統学


疑似科学問題, 科学/技術者の不正問題,報道の科学性・論理性

     創造科学,血液型性格判断,健康器具,ダイオキシン,地球温暖化など


  ・ その他 

勿論教員の専攻分野( 科学哲学 / 科学基礎論,科学思想,科学社会学 )のテーマ


は大歓迎です.

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                                       総合情報学部


                            NATVRA EST ABVNDANS

               NATVRA EST SIMPLEX

               NATVRA EST FORMOSITAS

 



  2008〜2014年度卒業研究テーマ




これ以下は2007年度までにおこなった卒研テーマです






 ○経済物理学
 

 ・価格決定の閾値モデルによるLevi分布の生成

   ・株価変動のファットテイルとハイピークの実証研究

   ・住友グループの株持ち合いネットワーク.三菱との比較

   経済物理学は統計物理学の相転移理論で有名なStanleyらが'90年代

   全半に立ち上げた学際領域です.政策担当者,エコノミスト,金融業

   界,数学者,物理学者等多方面の研究者が参画しています.金融商品

   の考察などをする金融工学(私は金融工学や数理ファイナンスとい

   う言葉があまり好きでないので,理財工学と呼びたいのですが)は,

   確率過程論の応用分野で,方法としては解析学の諸理論を使い,そ

   の目的はまさに実用にあるのとは異なります.経済物理学は,統計

   物理学の単なる経済現象への応用であるとか,統計物理学の概念を

   無理に実社会に当てはめるのではありません.統計物理学を構築し

   た精神で社会現象,経済現象を,そして人間行動や価値観を探ってい

   こうと言うものです.

   今までの卒研では,経済物理学の初期の成果である,価格変動分布の

   実証研究と,シミュレーション.それから株持ち合いネットワークの

   各種ネットワーク指標の比較により,旧財閥の在り方の比較をしました.

   今後は理財工学も取り上げていこうと思っています.

株価変動のファットテイルの実証研究

人工市場でのファットテイルのシミュレーション






 ○社会ネットワーク

 ・地下鉄ネットワークのクラスター係数,平均距離,次数フラクタル分布

   ・東京と大阪の地下鉄ネットワークの比較

   ・社会シミュレータによる噂話伝達ネットワーク

   この分野は去年始めたばかりです.友人関係,国家間,会社間などのネ

   ットワーク,テロリストのネットワーク,伝染病感染のネットワークな

   ど面白いテーマが沢山あります.それらのテーマを,数学,物理学のネ

   ットワーク理論で分析・考察します.最近のキーワードはスモール・ワ

   ールド・ネットワーク,ネットワークのクラスター度,ネットワークの

   フラクタル性です.残念ながら実地の社会調査やアンケート調査などは,

   我々の専門ではありませんので,入手できる公開データの分析や,社会シ

   ミュレータと呼ばれるソフトによるシミュレーションが主になります.

    単にネットワークの特性を比較研究するだけというのでなく,その知

   見により,人間関係の中でのより良い判断などについて,建設的な進言

   が出来るようになることが望まれるわけです.最近は,ネットワーク

   上での囚人のジレンマ対戦のシミュレーションによって,協力のクラ

   スターが発生する等の知見が得られています.

    科学計量学の方にむしろ関係しますが,論文の間の引用関係,共著・

   謝辞による結びつきの研究も,このネットワーク分析の一つと言えま

   す.原発などの巨大システムにおける,サブシステム故障の間の確率的

   関係のネットワーク(ベイジアンネットワークと言います)も扱ってい

   こうと思っています.





地下鉄ネットワークの比較研究

共属を紐帯とした学会のネットワーク






 ○情報力学
  

  ・マグニチュード分布の情報次元による巨大地震の予知

      兵庫県南部,十勝沖,鳥取西部,新潟などの事例研究

   ・震源空間相関パターンの変化による巨大地震の解析

   情報力学とは,確率的システムを,そのシステムの発する情報の複雑

   さの程度を表す,情報エントロピーやカルバック情報量,フラクタル次

   元などにより研究するものです.その創始者は東京理科大の大矢雅則

   教授です.対象の状態の分類や,相転移の予測,システム間の情報伝

   達の具合などを調べます.経済物理学でも出てきた価格変動のボラティ

   リティ時系列や,天文学,地学,生物学などに現れるパターンの分類,

   HIVウイルスの突然変異率からの発症予測など、ありとあらゆる分野が

   対象になります.勿論,バイオ・インフォマティクスや進化論はその大

   きな対象です.

   私のところでは、10年ほど前より、地震現象についての情報力学を

   調べています.地震学ではGutenberg-Richterの法則というものが知ら

   れています.これは地震のエネルギー別発生頻度が地震のエネルギー

   の(その対数がマグニチュード)べき乗(-0.82乗程度)になると言う

   ものです.そして活断層型巨大地震の前にこの指数が変動するという知

   見が知られていました.そこでG-R法則の傾きとは別のものではあるが,

   一種のフラクタル次元である(Kolmogorovのεエントロピ−に基づいた)

   情報次元の時系列で分析してみました.その結果巨大地震の1年半ほど

   前に情報次元が低下をし始め,元の値に回復し始めた時に本震が発生し

   ていると言うことを幾つもの事例で見つけました.また,震源の空間的

   相関関数の変化にも,地震の前兆を見いだすことも出来ることが分か

   りました.





情報次元による兵庫県南部地震の研究

震源空間分布2点相関






 ○計量文献学
  

 ・Shakespeare Bacon説 −Marlowを加えてのワードスペクトル比較

       ・源氏物語の宇治十帖別作者説のエントロピー変動による研究
 

   ・漱石と鴎外の文体 −修善寺の大喀血の文体への影響

   ・グリコ森永事件脅迫状の怪人20面相中途交替説


    計量文献学あるいは数理文献学と言われる分野は,広く一般に計量文化

   学と言われる学問の一例です.統計学と情報理論を駆使して,文章,文

   化財,絵画などについての分類等をします.文章を対象にするのが計量

   文献学で,特に統計的文体論と言われる分野の研究を取り上げてきまし

   た.この分野の日本での先達は京都産業大の安本美典教授,統計数理研

   究所の村上征勝教授です.使用される単語の文字数のスペクトル,品詞

   別の単語の使われ方,句読点の前の文字の頻度分布,文の平均長さ等々

   を用いた多変量解析やクラスター分析をします.作者不詳の作品の作者

   を推定したり,作品の真贋を判別したり,執筆年代を推定したりします.

   また執筆時の作者の精神状態の推定などもされます.現代では犯罪捜査

   や裁判等でも参考にされたりますし,歴史上の事柄の判定にも役立ちま

   す.

源氏物語宇治十帖別作者説

カルバック情報量による漱石と鴎外の文体の距離

漱石の文体の修善寺大喀血前後の変化

Shakespear=Bacon説の検証

グリコ・森永事件怪人20面相途中交代説





 ○科学計量学
 

  ・天文学分野での共語分析

   科学計量学とは,科学者の活動や業績評価について,あるいは又研究

   所,企業,国家の研究活動評価,そして研究分野や研究テーマの将来

   性の判定などを,統計学,ネットワーク科学などを活用して行うもの

   です.論文数や研究費の単純統計や,御用の多さに悪評高いインパク

   ト・ファクターのような初等的な議論に始まり,引用分析,共著分析,

   謝辞分析等の書誌学的な分析のデータベースを用いた研究,そして内

   容分析と(内容の意味を理解してと言うのでは無いのであるが)言わ

   れる,専門用語の共出現分析(これは本文の文章を参照しているので

   内容というのである)などによる単語間の距離測定を活用した単語地

   図の作成のようなことを行います.

   その地図の時系列変化などから研究動向・流行を読み取るなどの行為

   を行います.テキスト・マイニング・ツールが活用されます.また,引

   用地図や単語の地図,ネットワーク科学用のツールを使います.

    これから数年は,学協会の共属ネットワークの実証研究を行おうと

   計画しています.

天文学分野の共語分析による研究評価







 ○疑似科学について(科学・技術者の不正問題なども)

    健康法や超能力などについて,単に科学的あるいは論理的,帰納

   的にも受け入れられない主張をすると言うだけではなく,「科学」を

   自称するものがあります.これらの中には,方法論的(たとえば実験

   方法や統計的検定)にも制度的にも(学会組織,公認の教育機関,査

   読制度など)科学に勝るとも劣らない充実さを誇るものがあります.一

   方,「科学」の中にも再現性などは元々あり得ない学問や事例の「解

   釈」ばかりというものもあります.典型的なのはこの100年以上にわた

   って,進化論を教えることを禁止せよなどの裁判を繰り返しているキリ

   スト教原理主義者の「創造科学」(聖書の記述が文字通り正しい.世

   界は6000年前に創造された.従って進化はない.化石も石油も嘘,等

   々.最近はインテリジェン・トデザインと名を変えている)です.ま

   たテレパシーや予知,サイコキネシスなどを扱う超心理学も,もしか

   したらそうでしょう.19世紀20世紀を通して枚挙にいとまがない,疑

   似科学の沢山の事例が知られています.

    これらについての,事例研究,特になぜアメリカの民衆にはこの様な

   主張を当然のものと思う人が多いのかの比較文化的研究もしていきたい

   と思っています.

    また,身の回りにも,たとえば「水に話しかける」(水はきれいな

   言葉で話しかけられるとそれを凍らせた時に美しい結晶が出来る.話

   しかける替わりに,きれいな言葉を書いた紙を瓶に貼っておいてから

   凍らせると美しい結晶が出来た)などが教育現場で導入されていると

   言うような恐ろしい問題もあります(つまり,人間の体の大半は水で

   ある.その水は美しい言葉で話しかけられると美しい結晶になる.美

   しい結晶になる水ははきっと体によい.だからお友達の健康のために,

   きれいな言葉を使いましょう,と言うことである)等有ります.この

   類とは異なりますが(嘘の)学位や研究所の名前を並べ立て商品の

   有効性を唱い,検証には言を左右にして応じない商売は,健康器具,

   健康食品,お守りの類など沢山あります.なぜ我々はこの様なものに

   弱いのかと言うことの考察もしていきたい.

    また科学技術者の不正問題.すなわちデータ改竄,捏造,盗用など,

   この20世紀末からふたたび急増しています.この科学社会学的探求も行

   います.

    今年は,韓国ES細胞捏造事件と,創造科学受容の欧州と米国の温度

   差を取り上げています.






 ○量子力学関係
  

    ・非可換量同時測定問題の社会学

   ・多世界解釈によるBornの確率解釈の定理としての導出

   ・実用的量子計算機の実現可能性

    数学的体系としての量子力学の研究は,総合情報学部の諸君には必ずしも


   適切ではないと考えられます.量子力学と現代社会の関係,量子力学

   と20世紀の世界,物理学者,数学者,工学者などそれぞれの量子力学に

   対するスタンス,研究者文化の違い,量子情報理論の将来の社会に与え

   る影響の考察などを取り上げます

非可換量同時測定問題

多世界解釈とBornの確率解釈






 ○確率の理解
    


     ・3囚人問題にみるBayes推論の認知心理学

   ・仮説形成的推論による奇跡論と多世界論

   ・スパムメール分別とBayes学習

   「原因」の確率を計算する確率の逆算法,Bayesの定理はその示すと

   ころが納得できない事があるとして,奇病感染検査問題や3囚人問題

   などで有名なものである.また意志決定論においても,期待効用最大

   仮説に反する,籤の選好を扱ったAllaisの反例などや,社会での循環

   順序選好等の合理的解釈の難しい事例がいくつもある.また,「Ellsberg

   の壺」の様に籤の籤という状況下で期待値は同じでも確率がより分かっ

   ている方を好むという事例もある.「Brown氏の子供」の例のように,

   簡単な不充足理由律によって確率が割り当てられそうに思える状況でも,

   その確率的命題を発話している人,あるいは命題中の登場人物のその世

   界への登場の仕方によって,確率が異なるという「不思議」もある.そ

   こには観測選択効果が働いている.この様な常識や自然な思考に反した

   確率の評価について,哲学的考察と共に認知心理学的考察と社会構成論

   的考察を加える.

スパムメール対策ソフトとベイズの定理







その他 科学史,応用数理,選挙,倫理など 
 

   ・バイパス無料化社会実験による交通渋滞度変化


  ・袋井,浅羽合併前後での新聞報道にみられる特徴的変化

  ・任意の数値の最上位桁は“1”が多いか.対数一様分布

    古代,中世の技術先進地帯をさしおいて,なぜ西欧にのみ近代科学技術が育っ

   たのかを宗教,社会などの歴史的考察より探ってみたいと思っています.

    またオーストリア−ハンガリー2重帝国の2都WienとBudapestではそれぞれの都

   市の中産ユダヤ人子弟が,片や論理実証主義のWien学団をおこし,片や20世紀

   の人類の科学を切り開いた「ブダペストの異星人」とよばれる数理科学の天才達で

   ある亡命ユダヤ人科学者,数学者,工学者を輩出するに至ったのか.彼らの理論

   の内容分析,意味分析,またWienとの比較にまで立ち入った研究は存在しないの

   でこの考究をしたい.

    それから,60年代後半から70年代初頭のベトナム反戦運動とニュー・エイジ・

   サイエンス,東洋思想,環境運動の関係を調べてみたい.

    90年代の科学者対科学論者の諍いである,「サイエンス・ウォーズ」の再考もし

   たいと思っています.

    「もう一つの科学」としてのゲーテの色彩論の考察もしてみたいと思っています.

    選挙方式の比較研究や,資源分配に際しての倫理の研究も取り上げたいと思っ

   ています.


交通渋滞と社会実験

任意のデータの1桁目は「1」が多い.

KHCoderによる袋井関連報道の研究

亀田事件の分析

アメリカと創造科学

ES細胞捏造事件



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