Yoshida Lab. Challenge for Nano-Materials Science by Mossbauer Spectroscopy. Materials & Life Science

Introduction

 このホームページでは、放射線計測評価技術のひとつであるメスバウア分光の原理や測定技術を簡単に説明し、格子欠陥や拡散に関連したこれまでの私の研究成果の紹介を行っています。メスバウア効果の発見から半世紀を経て、その応用分野は自然科学全般に拡がっています。しかしながら、メスバウア分光装置は放射性同位元素を扱うための「管理区域」が必要になりますので、電子顕微鏡やX線回折装置、さらに走査プローブ顕微鏡のような一般的な材料・物性評価手段として利用されていないようです。原子核プローブと電子の超微細相互作用を利用すれば、バルク材料中の原子スケール情報を獲得することが可能です。しかしながら、分光法ですので注意深い実験と解析、そして理論計算との比較が必要で、この困難さがこの手法の普及を妨げてきたように思えます。現在私のグループで開発中の、鉄極微細組織の顕微像観察を可能にする「鉄顕微鏡」はメスバウア分光の新たな時代を切り開くものと期待しております。

 私の研究グループでは、メスバウア分光法を用いて、物質中の動的過程、特に、拡散や析出、相転移などの研究を行ってきました。メスバウア分光プローブとして用いる鉄原子は金属・半導体・セラミックス材料、カーボンナノチューブなどのナノ材料、生体物質、さらには自然環境のいたるところに存在し様々な機能や役割を担っています。従来の極微量元素分析法では得られない結晶格子位置や電子状態、磁気状態、さらに拡散、クラスター・析出物生成・消滅過程などに関する原子スケールの情報を様々な環境下で直接観察できることがメスバウア分光の大きな特色です。最近は、太陽電池シリコン材料中の鉄不純物の問題を精力的に取り組んでいます。この研究は発電効率の向上と直結しており、環境問題への物質科学からの挑戦として企業との共同研究で重点的に取り組んでいます。

「メスバウア効果の応用のための国際会議(ICAME)」が2年に一度開催されてきましたが、最近は中心的役割を果たしてこられた先輩諸先生方の退職で、大きな転機を迎えています。特に、日本国内でメスバウア分光実験が行える場所は徐々に少なくなっています。一方、メスバウア分光関連の多くの若手研究者はSPring-8の放射光施設や理化学研究所の加速器施設で新しい実験手法に挑戦しています。 多くの研究者の方々がこのホームページをご覧になり、メスバウア分光の有用性を改めて認識していただき、新たな応用分野を開拓していただけることを願っています。

2006年5月3日

静岡理工科大学・物質生命科学科 吉田 豊

 

 

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