景色をつくる擁壁
脇坂賞

景色をつくる擁壁wall of the art

Name:
築地颯
Hayate Tsukiji

景色をつくる擁壁

築地颯

近年は医療の発達により肉体的な傷は多く治るようになった。しかし心に負う精神的な傷はなかなか癒すことが難しく、一度社会や集団から離脱した人は復帰が難しい現状にある。今回の敷地である法多山門前町は道路から山の中へ入っていくような奥地に位置している。その為この地では、商業的な再生だけでなく心が疲弊し世界から外れてしまった人たちを受け入れることが出来る、かつてのお寺が持っていた許容性を持つべきだと考えた。この地が地域との関わり合いの中から再スタートがの助けとなるような能力を持たせようと考えた。そこで仁王門に向かうにつれて次第に高さが上がっていく地形にそってアートラインを作成した。町でアーティストが作成したものやワークショップを得て作成された彫刻アートがアートラインに沿って置かれたボリュームの屋根に点在する。町の風景がアート集落のような姿になり、様々な交流の場となることを期待する。

教員講評

・傾斜地と傾斜地が向かい合う谷状のエリアにつづら折り状の壁が連続し、空間を囲いこむ形式を取る。具体的には、宿泊、ホール、子育て支援、工房といった用途が千鳥状に配置される明快な構成。連続する壁をアートラインと呼んで、彫刻を据え、活動と共に彫刻が増えるという。しかし、彫刻が点在する風景には魅力をそれほど感じられず、用途間の外部空間における活動の展開が見えない(白いままゆえ)こと、アプローチ・方位・寸法・フライタワーが欠落していること、ホールの舞台の向きに疑義があることなどからさらなる検討を望む。(脇坂)