【人間情報デザイン学科 秋山憲治】SISTの三不思議(自然篇)

  「世界の七不思議」はよく知られています。「世界の」とはいえ、実際には古代ギリシャを立脚点として、東地中海・西アジア地域に点在する傑出した建造物・築造物を7つ選んだものです。この「世界の七不思議」に倣って「SISTの七不思議」を提案しようと考えましたが、7つも選ぶことは容易ではありません。そこで、今回はSISTキャンパスの自然に限って3つの「不思議」を選んでみました。

 もちろん「不思議」とはいっても、謎めいた不可解な事象ではなく、日常の隣に「こんなこと(もの)があるのか!」という程度の事象です。しかし「世界の七不思議」でさえ、「バビロンの空中庭園」にしても「アレクサンドリアの大灯台」にしても、人間業とは思えないほどのものではありませんでした。したがって「SISTの三不思議(自然篇)」がちょっとした珍しいこと(もの)であることは、大目にみていただきたいと思います。森羅万象には興味深いこと(もの)がたくさんあります。

①台風で傾いても健気に伸びるメタセコイア

 SISTキャンパスにはメタセコイア(metaseqouia)の木が7本植えられています。そのうち1本が、2011年9月の台風15号による烈風のため傾いてしまいました。写真から、右側の木の幹が傾いていることがわかります。2本の木の幹が平行ではありません。このときは、キャンパス内でもキャンパス周辺でも少なからず木々がなぎ倒されました。傾いただけで済んだのですから、このメタセコイアは幸運な木です。
  その後は健気にも、幹が真上に向かって伸び始めました(樹木の性質として反重力の方向に伸びることは当然ですが)。そのため、途中から幹が曲がってしまったわけです。写真で見ると先端から2~3m下の箇所で曲がっていることがわかります。さらに伸びれば軽度の「く」の字状になるでしょう。メタセコイアは本来まっすぐに伸びる性質があります。ここは豪雪地帯や海岸地帯ではないので、このメタセコイアは数十年後にめずらしい形をした木になるでしょう。

②固結した泥層から出土した材化石

 SISTキャンパスの浅い地下に固い青灰色の泥層が横たわっています。素人眼には岩というほど固くありませんが、専門家は泥岩とよぶのかもしれません。この地層が露出した場所に材化石がみられます。石のように固くて重い樹木の破片です。破片といっても長いものは数十㎝あります。幹なのか根なのか枝なのか不明ですが、どうみても樹木の化石です。
 いつ頃のものか、学内で年代測定してもらおうと考えましたが、そのような特殊な装置は置いてありませんでした。一説によると、この小笠丘陵の約90万年前に形成された泥層には材化石が含まれていて、①で取り上げたメタセコイアの材化石という可能性があるそうです。仮に、地上には生きたメタセコイア、地下には化石のメタセコイア、という組み合わせなら、興味深い現象です。「生きている化石」メタセコイアの面目躍如たる姿になるはずですが…。しかし、90万年前と日本列島にメタセコイアが繁茂していた時期が一致しないので、この組み合わせが成り立つ確率は小さいでしょう。「夢の手枕」ということでしょうか。

③立派な松ぼっくりを実らせる一風変わったマツの木

 SISTキャ88ンパスにも付近の丘陵地帯にも、一風変わったマツの木が群生しています。アカマツでもクロマツでもありません。葉が長いこと、幹がまっすぐであることが主要な特徴です。鶏卵のような樹形で、幾何学的な美しさをもったマツの木です。北アメリカ大陸から渡来したといわれ、「ベイマツ」という名称を聞いたことがありますが、それとは別種のテーダマツかスラッシュマツのようです。
  このマツの木が立派な松ぼっくりを実らせます。新宿御苑(東京都新宿区・渋谷区)や浜北森林公園(浜松市)には、さらに大きな松ぼっくりを実らせる木がありますが、この松ぼっくりであってもアカマツやクロマツのそれよりはるかに大きく、見応えがあります。ところが残念なことに、すべての鱗片の先端に鋭い棘が付いていて、うっかり握ると手指に刺さります。したがって、枝についている松ぼっくりを眺めることが最良の利用法かもしれません。ともあれ、北アメリカ原産のマツがなぜここに群生しているのか、不思議です。