【人間情報デザイン学科 小栗勝也】新しい発見と出会う快感

新しい発見と出会う快感

 私の本当の専門は歴史です。歴史の研究も科学的なものですから論拠が正しくなければなりません。嘘の論拠に基づいた記述は、自然科学であろうが、人文社会科学であろうが、いずれ、それが批判される時が来ます。最近の朝日新聞社が、「従軍慰安婦」問題で虚偽の話を基に記事を書いてきたことを謝罪し、記事を取り消したことも、同じ理由によります。朝日の嘘は、既に何十年も前から正しい歴史を研究している学者から指摘されていたことであり、また本学のマスコミ関連の講義で私も指摘してきたことですから、私には何も驚く事でありません。しかし、多くの人にとっては驚きであったかもしれません。新しい正しい情報の登場によって、既存の間違った情報が訂正されるというコペルニクス的転換点に遭遇できることは一種の痛快事です。

 これと同じような体験を、自分の専門領域で経験することができました。次の2枚の写真は小栗が撮影したものですが、袋井市立東小学校から国道に向かう道の途中に立てられている看板です。「袋井近代教育発祥の地 用行義塾」と書かれ、下に袋井市教育委員会による説明書きがあります。

 用行義塾のことは、これまで『袋井市史』に一番詳しく書かれていました。そこにも、この看板の説明書きのような記述があります。ところがそこに記されている「福沢諭吉の影響」というのは、どうも怪しいのです。また、写真の説明書きに「「学制」が発布される一年前」に用行義塾が設立されたとありますが、この文章は明らかな間違いです。それらの理由については、今年(2014年)6月に発刊された『静岡理工科大学紀要』第22巻掲載の小栗の論文に書いてありますので、そちらをご覧頂きたいと思います(PDFファイル)。それが発見の1つです。

 いま1つは、用行義塾の先生については、何も詳細は分からない、と『市史』にはあるのですが、その中の1人、高田緑雲について多少記されている資料を見つけたので、それを紹介する文章を小栗が発表しました。『文芸袋井』第8号(平成26年3月)に掲載されています。

 その後、さらに新しい発見をしました。上の論文では、分らないので是非知りたいとだけ書いていた用行義塾の設立者に関する情報を、今年、見つけることができました。これは、既に公刊されている資料に記されていたものを私が目にしただけということなので、世の中がひっくり返るような重大事件でも何でもありませんが、私個人の中では特筆すべき出来事です。知りたい知りたいと思っていると、その情報が向こうから勝手に飛び込んでくるような不思議なことがありますが、久しぶりにその体験をしました。その快感は経験のある人でないと理解頂けないかもしれません。

 用行義塾は足立儀八、足立貫一(この2名は他の資料でも分かる)、その他、合計9名の発起人によって設立されたことが分りました。『市史』にも書かれていない情報です。しかも、その名前が記された文書そのもの(一次資料)を、この手に取る事ができました。写真にも収めました。その内容については、また『静岡理工科大学紀要』で発表しようと思っています。

【人間情報デザイン学科 小栗勝也】