物質生命科学科|小土橋 陽平 准教授らの論文がACS Macro Letters誌に掲載されました

研究活動

物質生命科学科 小土橋 陽平 准教授らの論文がACS Macro Letters誌に掲載されました

物質生命科学科 小土橋 陽平 准教授,藤本 一磨 (2021年度卒 修士),齋藤 明広 教授が,液体のりの成分(ポリビニルアルコール,PVA)を用い,ナノ柱を有するハイドロゲルを開発することに成功しました.セミの翅を模倣して作成された本ナノ柱は,柔軟性と可動域の広さから細菌の捕捉と細菌膜の変形が観測され,抗菌性材料としての応用が期待されます.

本研究では,セミの翅を模倣したナノ柱ハイドロゲルを,特別な装置や添加剤を使用せずに,市販のアルミナ多孔質基盤を用いて簡便に調製しました.ナノ柱は,親水性高分子であるPVAとポリメタクリル酸(poly(MAAc))から構成されます.ヒドロキシ基とカルボキシ基間の熱架橋によって構築された水に不溶なナノ柱ハイドロゲルは,非常に柔軟性があり,ナノ柱が傾いても構造的な破壊は観測されませんでした.ナノ柱は表面電荷が負であり,細菌に対する静電的な反発があるにもかかわらず,グラム陰性およびグラム陽性菌を補足しました.加えて,捕捉された細菌の細菌膜は,殺菌性が示唆される形状の変化が観測されました.ヒドロゲルナノ柱の報告数は,その調製の困難さから限られており,潜在的な抗菌効果は不明です.本研究は,ナノ柱を有する様々なハイドロゲルの調製を容易にし,これらの研究の進展を加速することが期待されます.水を含有できるセミの翅構造などは,細菌にとって未知との遭遇である可能性があります.海を泳ぐセミなど今後の進化の過程で登場する(または過去に存在していた)かもしれない生物の機能をシミュレートし模倣する「Future creature-mimetics」ことで,絶えず変化する細菌に対する新しい対策になることが期待されます.

本研究成果はアメリカ化学会のACS Macro Letters誌に掲載されました.
(https://doi.org/10.1021/acsmacrolett.2c00126)

小土橋准教授のホームページ:https://kotsuchibashiyohei.wixsite.com/2016