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目的・意義


図1.「文部科学省放射線量等分布マップ
拡大サイト/電子国土」より

平成23年3月、福島第1原子力発電所の事故で核燃料ウランの核分裂生成物であるセシウム137(半減期30年)などが大気中に放出され、日本の広い地域に汚染が拡がってしまいました(左図)。静岡県内にも極微量汚染が広がり、農作物や農地、工業製品などの汚染が心配されています。この汚染レベルは、静岡県では幸い事故前の環境に存在した自然放射線のレベル(年間2.5mSv)と比較しても微量の汚染です。自然放射線の中には、人間が体内に持つカリウム40や炭素14、大気中に微量に存在するラドン、宇宙線などによる放射線が含まれます。もともと人間は宇宙の一員であり、このような放射線の影響を受けて生まれてきた生命であり、放射線被曝に対するある程度の耐性を持っています。ところが、最近の報道を見れば、明らかに一般市民の「不安」をかき立てるような過剰な「情報」や間違った「解説」が世に蔓延しており、正しい「放射線の知識の普及」が何より望まれるところであります。さらに、本地域は浜岡原子力発電所からも近く、東海地震の可能性を考えれば「放射線の知識」を有する人材育成や「安心・安全」に関する普及啓蒙は極めて重要な課題と言えます。

ところで、現代の放射線計測技術は感度が極めて高いので、この汚染レベルを自然放射線から分離して計測することができます。ただし、様々な農水産物や土壌、工業製品に含まれる極微量汚染の絶対量を正確に評価するためには、シンチレーションタイプの簡易型計測器では正確に計測することは不可能で、放射線計測の正しい知識を持った技術者が環境放射線を遮蔽した鉛容器中に設置した「ゲルマニウム検出器」により十分な計測時間をかけて測定する必要があります。残念ながら、近年、中学から大学に至る「理科教育」では放射線の基礎は十分教育されておらず、放射線検出技術を有する技術者が極めて少ない状態です。一方、静岡理工科大学には放射線材料研究室が開学以来あり、チェルノビル事故による食品汚染検査の経験を有する教員が在籍しています。さらに、現在、私立大学戦略的研究基盤形成支援事業により整備された「先端機器分析センター」が稼働を始めており、「環境新素材の微量元素分析・マッピング」や「食品の安全評価」に関する研究が開始されています。このような本学のポテンシャルを活用し、袋井地域における「放射線計測モニタリング」の調査研究開発事業を立ち上げました。

事業の目的

本学先端機器分析センターに「ゲルマニウム検出器」を整備して、長期に亘る環境放射線計測モニタリングと人材育成・啓蒙活動を実施します。これにより、「袋井地区の農産物の安全」に関する情報を提供すると共に、「放射線に関する基礎知識と計測技術」を有する人材を地域に育て、風評に惑わされることなく「正しくセシウム汚染」の問題に対処できる地域社会の形成を目指します。