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ホーム > 研究力 > 〔番外編〕分析センターは地元企業との身近な接点

〔番外編〕分析センターは地元企業との身近な接点


今回は番外編。注目するのは研究者ではなく、学内の施設「先端機器分析センター」です。粉末X線回折装置(XRD)や電子プローブマイクロアナライザ(EPMA)など高額な分析機器を27機種もそろえている同施設は、学内の研究者や学生が利用する共同施設という側面のほかに、外部の人にも開放する地域の分析センターという側面を持っています。

先端機器分析センターを利用する
コニカミノルタケミカルの飯島貴之さん

先端機器分析センターを利用したい企業は事前に「利用者協議会」へ登録する必要があります。これまで88の地元企業・教育機関が登録し、年間200件以上の利用がありました。取材に訪れたときには、静岡県袋井市に本社工場を構えるコニカミノルタケミカルの飯島貴之さんが来校し、核磁気共鳴装置(NMR)を使って低分子化合物の構造決定を行っていました。月に数回はセンターのNMRや走査型電子顕微鏡(SEM)を利用するそうです。

「修士論文の発表を控えた時期は学生さんの利用が多いので避けるようにしていますが、それ以外はほぼ予約が取れます。この施設にあるような高額な機器は大企業でないと自前で持つことはなかなかできません。袋井市周辺には化学系の企業がいくつかありますが、そうした企業にとって低料金で利用できるこの大学のサービスは大変ありがたいです」(コニカミノルタケミカルの飯島貴之さん)
分析センターを利用しやすくする工夫と活動

最先端の分析装置は難しそうだという意識を変えてもらい、多くの人に利用してもらうために、先端機器分析センターではいろいろな工夫や活動をしています。同センターの利用案内(冊子)を見ると、そこには機器を用途別に分類した表がありました。

「先端機器分析センター 利用案内」より

例えば「ICP発光分光分析装置」は何を対象にして何ができる機器なのでしょう。高度な技術を使う最先端の分析装置には難解な名前が付いていることが多いので、即答できる人は限られてしまいます。ですが、分類表があれば機器への理解が進むはずです。もちろん、学内の学生に向けた教育的な側面もあるのでしょう。

この表によれば、ICP発光分光分析装置は「試料の元素分析」を目的とする装置で「水溶液中の元素分析(定性・定量)ができる」装置であることが分かります。また、前述の飯島さんが利用していた核磁気共鳴装置は「試料の構造分析」を目的とする装置で「有機化合物の化学構造を解析できる」装置であること(※1)が分かります。飯島さんもその目的で装置を利用していたのでしょう。

※1 核磁気共鳴装置:無機材料の解析に使われることもあるが、実際の用途としては有機化合物の解析に使われることが多い

また先端機器分析センターでは、年に2、3回のペースで機器分析講座を開催しています。最近の研究・分析テーマとともに、そこで使われる分析機器の使い方について解説するものですが、平成28年度には「無機材料の状態分析とマッピング解析」および「有機溶媒試料のICP分析」というテーマで、平成29年度には「金型・金属加工における表面分析技術」というテーマで講座を開催しました。

ここでも、学内の研究者や学生だけでなく、広く地域の技術者に参加を呼びかけて、分析機器への理解と利用を促しているのです。「地域の分析センター」として地元企業の研究力に貢献したいという姿勢がうかがえる活動といえます。こうした企業との接触のなかから、共同研究に発展する可能性も出てくるのでしょう。

先端機器分析センターについて、センター長の吉田豊教授に特徴を伺いました「センターでは先端材料の開発・研究に不可欠な汎用分析機器を整備し、皆さんにご利用いただいています。さらに、国の競争的研究予算で私たちが開発した世界オンリーワンの「顕微メスバウア分光装置(鉄原子だけに敏感な状態分析可能な顕微鏡)」も稼働しており、太陽電池や金型材料の研究に利用されています。」。

利用する側のコニカミノルタケミカル飯島さんに尋ねてみました。静岡理工科大学の先端機器分析センターの強みは、早川一生技術課課長や脇川祐介職員といった技術職員のサポートが充実していることだと言います。貴重な機器が低料金で使えるだけでなく、使いやすい環境にあること。それが高度な分析機器を地元企業に積極的に利用してもらえる理由であり、大学との接点が増えていくことにつながるのだと分かりました。

先端機器分析センターの職員 
左から早川一生技術課課長、吉田豊センター長、脇川祐介職員