著作権の基本事項

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誰かが文章や絵、音楽等を制作すると制作した段階で作品に対する「著作権」が発生し、制作者は「著作権者」となり、作品は「著作物」となる場合が多い。
著作権は、「複製権」「公衆送信権」「翻訳・翻案権」等、様々な権利の集合体で、例えばHPに掲載する権利は「公衆送信権」となる。
或る作品の著作権者以外の者が、勝手にその作品に対する著作権を行使すると著作権侵害となり、法律で定められた処罰等の対象になる。
著作物は販売出来る経済的価値を有するものもあり、著作権侵害に対する損害賠償請求等も認められている。
制作物には著作物にならないものもある。また著作物であっても、或る手続きに従えば、著作権者以外の者が著作権を行使する事も出来る。

著作物の定義

「(著作物とは)思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。」(著作権法2条1項1号)。制作物がこの定義に該当すれば、著作物になる。大抵の文章は、「思想又は感情」を表現したもの、と考えられている。従って、「創作的に表現したか否か」が重要なポイントとされる。

造語ではない単語、熟語自体は著作物ではない。文章でも「地球は太陽の周囲を回る」のように、或る事柄を或る見方から語る際に必ず採らざるを得ない事実、言葉、論理展開があり、誰が書いても同じような表現になる事を「必然の一致」(一致には類義語の範囲も含まれる)と呼び、その部分は創作的表現ではなく、著作物にはならないと考えられている。

著作権が争われた裁判の判例等を読むと、著作物Aが著作物Bの著作権侵害であるか否かは、「著作物Aは著作物Bを知らなければ作れなかったか否か」という観点から検証されている場合が多い。長い文章が偶然に一致する確率は限りなくゼロに近いため、これは必然の一致であるか否かを検証している事になる。

また必然の一致に基づく事実を描写した文章(例えば報道記事)でも、様々な出来事からの事実の選択・並べ方には必ずしも必然性はなく、著作権が存在する場合も多いので要注意である。単なる事実の集積でも、何を集めたかに創作性が認められるため、データベースや辞典のような「編集著作物」も著作権を持っている(同12条等)。

なお、上記の定義からも明らかなように、必然性の無い創作は著作物となるため、制作者の有名無名、出来栄えの良し悪しには関係なく著作権は発生する。

著作権の消滅

著作者の死後五十年を経過すると著作権は消滅し、誰でも自由に著作物を使えるようになる。「著作権は、・・著作者の死後(共同著作物にあっては、最終に死亡した著作者の死後。・・)五十年を経過するまでの間、存続する」(著作権法51条2項)。

著作権は譲渡可能で、著作者の生存中に著作者以外の者が著作権者になる場合もある。また著作者の死亡後は、一般の財産と同様に、民法の規定に従い、相続人等(配偶者や子供等)が著作権を承継する。この場合でも、元の著作者の死後五十年が経過すれば著作権は消滅する。

相続人が存在しない場合は、著作者が死亡した時に消滅する(同62条)。個人ではなく法人等の団体が著作の名義を有する著作権は、公表後五十年(同53条)、映画は公表後七十年(同54条)が著作権の存続期間で、ケースにより「死後五十年」の原則とは異なる場合がある。

外国文学の翻訳等の二次的著作物は、例えば著作者がシェイクスピアでも、翻訳者の死後五十年間、その翻訳に対する著作権が存在するので、許可無く翻訳文を公開する事は出来ない。電子図書館「青空文庫」(別サイト)は、作者の死後五十年を経る等して著作権が無くなった作品を公開している。

文章を画像化するのは著作権の中の「翻案権」(同27条)の行使に当り、文学作品の映像化等も、作者の死後五十年を経過したものしか許可なく行なう事は出来ない。

著作物の利用許諾

著作権者以外の者は、著作権者から「許諾」を受ける事で著作物を利用出来る。「著作権者は、他人に対し、その著作物の利用を許諾することができる。」(著作権法63条1項)。「前項の許諾を得た者は、その許諾に係る利用方法及び条件の範囲内において、その許諾に係る著作物を利用することができる。」(同2項)。

利用方法及び条件の中には、利用する期間、使用料等も含まれる。また著作権のうち、例えば公衆送信権の許諾のみ受けるとか条件は様々で、使用料も無料から高額のケースまであり、一概に決まっていない。

例えば作家からの利用許諾は、出版社等の著作権管理室のような専門部署を通じて行なう場合も多い。音楽関係はJASRACが一括管理している。内容を改変したい場合は、著作者本人に固定的に帰属する同一性保持権に係るため、著作権が譲渡されている場合には、著作権者の他に原著作者の許可も必要となる。

著作権制度の詳しい解説や電話相談をしている社団法人著作権情報センター(CRIC)(別サイト)のページ。

一般社団法人日本音楽著作権協会(JASRAC)(別サイト)のページ。

引用~許諾によらない利用~

許諾を得なくても、一定条件下で他人の著作物を利用出来る規定の一つに「引用」がある。「公表された著作物は、引用して利用することができる。この場合において、その引用は、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれるものでなければならない。」(著作権法32条1項)。

「引用」は新聞・出版等の活字業界に於いては常套手段と言える程、広く使われる。この規定が在る主な理由として、或る著作物の「批判」を可能にする事が挙げられる。批判する際に、その著作物の一部を示す必要もあるが、著作権者の許可を得にくいため、一律に許諾制にすると、批判的な文章は書けなくなるという問題が生ずる。

引用は無断で行なう事が前提である(「無断引用」という言葉は意味が重複している)ため、厳しい制約がある。「公正な慣行に合致」「引用の目的上正当な範囲内」の具体的条件として、「明瞭区分」「出所表示」「同一性の保持」「従の関係」を全て守らなければならない。

明瞭区分は、引用された範囲に括弧を付ける、字体を変える等の方法で、他の文と明瞭に区別する事を指す。出所表示は、引用された文が記載されていた元の著作物の題号等、特定出来る情報を付す事である。同一性の保持は、引用された文を変えてはならない事で、途中を省略する場合でも、「~(略)~」等の省略情報を付さなければならない。

従の関係とは、あくまで引用する方の地の文に、引用される文とは異なる論旨、主張があり、引用される文はその論旨展開に必要な構成要素に過ぎない事を指す。他人の文を引用し、例えば「これは面白いですね」と感想を述べるだけでは、主は引用された文の方になってしまい、引用の条件を満たさない。また、引用される文は論旨展開に本当に必要な最低限の範囲に限定しなければならない。

引用の目的として、条文には「報道、批評、研究等」とあるが、「批評」は必ずしも否定的な批判とは限らない。何らかの考察はこれに該当する。引用の名手として、よく"引用"される作家が司馬遼太郎で、歴史小説の中に、上手に様々な資料を織り込んでいると言われる。