電子商取引に関する主な法律

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電子消費者契約法

正式には、「電子消費者契約及び電子承諾通知に関する民法の特例に関する法律」という長い名称で、2001年12月から施行された。インターネットによる契約も原則は民法に従うが、その特例を定めたものになる。
消費者が行う電子消費者契約の要素に特定の錯誤があった場合等(第1条)の救済を目的としている。
経済産業省の「逐条解説」によれば、特定の錯誤には誤った送信ボタンのクリック、或いは入力ミスによる、意図しない購買申込み等が挙げられている。
この救済のため同法では、「その意思が無かった場合」「異なる意思があった場合」の申込み等について、申込者が無効を主張出来る(重大な過失がある場合は無効を主張出来ないとした民法の規定を適用しない)ものとしている(第3条)。
但し、事業者が内容確認や修正を可能とする画面等を表示して再度ボタンを押させる等、「確認を求める措置を講じた場合」は、この限りではないとしている(同条)。
従って、ネットショップに於いては、必ず契約内容(値段等も含む)確認画面を設置する必要がある。この法律は勿論、意味不明なボタンを押しただけで料金請求される「架空請求」を無効にするものでもある。

特定商取引に関する法律

同法によれば、ネットショップは「通信販売」に該当し(第2条第2項)、事業者に対する様々な規制が、同法第11条~15条で規定されている。例えば画面には「商品又はサービス(以下、商品等)の価格(送料が含まれない場合は送料も)」、「代金の支払いの時期及び方法」、「商品等を引き渡す又は提供する時期」、「返品に関する条件(返品に応じない場合はその旨)」を明示しなければならない(同第11条)。
さらに、この法律を補足する経済産業省令(施行規則)で、「事業者の氏名又は名称、住所及び電話番号」、「事業者が法人の場合は代表者又は責任者の氏名」、「申込みの有効期限があるときはその期限」、「商品等の価格以外に購入者の負担する金銭があれば、その内容及び額」、「商品に隠れた瑕疵(欠陥)がある場合の事業者の責任(規定がある場合のみ)」、「商品がソフトウエア等である場合は、使用可能な計算機環境」「商品の販売数量の制限等の販売条件(ある場合のみ)」、「電子メール広告をする場合は事業者のメールアドレス」(同施行規則8条)等の表示も義務付けられている。
従って、世間で堂々と営業しているネットショップの画面には必ず、これらの表示がある。無ければ怪しいサイトである。同法には罰則規定も多く、誇大広告(同法第12条)をした場合は、100万円以下の罰金となる。さらに悪質な条件に該当する取引をした場合で、上記の11条の表示が無いと、1年以下の懲役又は200万円以下の罰金等に処せられる(同72条2項)。

個人情報の保護に関する法律

2003年5月に成立した所謂「個人情報保護法」は、個人情報を入力させるケースが多いネットショップにも、関係深い法律である。「「個人情報」とは、生存する個人に関する情報であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの(他の情報と容易に照合することができ、それにより特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)をいう」(第2条1項)。
個人情報取扱事業者は、個人情報の利用目的を出来る限り特定する必要があり(第15条1項)、本人の同意を得ずに利用目的達成に必要な範囲を超えて個人情報を取り扱ってはならず(第16条)、個人情報を取得した場合は、予め公表している場合を除き、利用目的を速やかに本人に通知又は公表する義務がある(第18条1項)。個人情報を入力させるネットショップも「個人情報取扱事業者」となり、画面上に利用目的を表示しておく必要がある。
個人情報取扱事業者は、個人情報の漏えい、滅失又はき損の防止等の安全管理に適切な措置を講じる義務があり(第20条)、法令に基づく等の特別な場合を除き、本人の同意を得ずに個人情報を第三者に提供してはならず(第23条1項)、本人から個人情報の利用停止を求められ、一定の条件に該当する場合は、利用停止しなければならない(第27条1項)。他にも細かい様々な義務が規定されている。

食品衛生法、酒税法

食品衛生法では、薬事法に規定される医薬品及び医薬部外品を除く「全ての飲食物」を食品と定義し(第4条1項)、その販売(ネットショップでも同様)には、都道府県知事の許可を得なければならない(第52条)としている。管轄する保健所に許可申請書等を提出し、調理施設等も審査され、基準を満たさないと許可されない。また、各都道府県条例で定める食品衛生責任者の存在が必要で、この届出等もしなければならない。
酒類の販売は、さらに酒税法の規制も受ける。管轄の税務署長から酒類販売業免許を受ける必要があり(第9条第1項)、自家製の梅酒が美味しく出来たからといって、無免許で販売する事は出来ない。但し、国税庁のHPによると、販売とは継続的に行う事を指し、購入した酒類で余ったものをネットオークションに出す等は、免許不要とされる。ビール券も酒類ではなく有価証券であり、販売に免許は不要とされる。
ネットショップで二以上の都道府県に酒類を販売する場合は、一般免許とは異なる通信販売酒類小売業免許が必要になる。国税庁のHPによると、同免許により販売できる酒類は一般の酒販店では通常購入が困難な酒類(地酒、輸入酒等)に限られる。また、未成年者飲酒禁止法に基づき、「未成年者の飲酒は法律で禁止されている」等の文言を、画面上等に表示しなければならない(国税庁告示)。
食品衛生法の罰則は無許可営業が2年以下の懲役又は200万円以下の罰金刑(同法72条1項)、無許可で酒類を販売した場合は1年以下の懲役又は20万円以下の罰金刑に処せられる(酒税法第56条1項1号)。

薬事法

薬の販売は、薬事法により「薬局開設者又は医薬品の販売業の許可を受けた者でなければ、業として、医薬品を販売し、授与し、又は販売若しくは授与の目的で貯蔵し、若しくは陳列・・・してはならない」(第24条)と規定されている。医薬品の製造販売には、厚生労働大臣の承認が必要である(第14条1項)。「医薬品の販売業の許可」は結局、薬局の開設基準(第5条)が準用され(第26条2項)、薬剤師の存在(第5条2項)や構造設備等の様々な条件が必要となる。
従って、病院で貰った余った薬をネットショップで販売するのは違法行為となる。勿論、正規のオークションサイトでは、医薬品の出品を禁止している。
時々、問題になるのが「健康食品」の効能表現で、薬事法の医薬品の定義である「「人又は動物の疾病の診断、治療又は予防に使用される事」「人又は動物の身体の構造又は機能に影響を及ぼす事」を目的とする物で、機械器具等ではない物」(第2条2項3項)に該当する効能を謳ってしまうと、無承認のニセ医薬品として同法に違反する。ガンや糖尿病等の病名を挙げて効くと言ったり、疲労回復、免疫力増強、等も医薬品としての表現になる。医学栄養学的に、一定の効果を認められた特定保健用食品という範疇もあるが、これも認可が必要である。
無承認医薬品の販売は、3年以下の懲役又は300万円以下の罰金(又はこの併科)に処せられる。広告だけでも、承認前医薬品の広告を禁止する第68条に違反し、2年以下の懲役又は200万円以下の罰金(又はこの併科)に処せられる。

古物営業法

家にある物等を販売すると、法律上の「古物営業」に該当し、古物営業法の規制を受ける。ネットオークションに出品するだけでも、同法の規制を受ける場合があるので、オークションサイトの注意書きを確認する必要がある。
古物営業法は、盗品の売買の防止等を主な目的とし(同法第1条)、「古物」は、一度使用された物品、使用されないが使用のために取引されたもの、又はこれらの物品に幾分の手入れをしたもの、等と定義される(第2条1項)。
古物を売る者は「古物商」となり、その営業所(営業所が無い場合は自宅等)の所在する都道府県の公安委員会の許可を受けなければならない(第3条1項)。管轄警察署に、許可申請書、住民票、身分証明書等の必要書類を提出し、審査を受ける。古物商許可証が交付されるまでに、約一ヶ月かかるといわれる。許可申請書には、取り扱おうとする商品の区分も記さなければならない(第5条1項3号)。オークションサイトを開設する場合は、「古物競り斡旋業者」という別の許可が必要になる。
上記の区分は、同法施行規則により以下の13種類がある。「美術品類(書画、彫刻、工芸品等)」、「衣類」、「時計・宝飾品類」、「自動車(部品含む)」、「自動二輪車及び原動機付自転車(部品含む)」、「自転車類(部品含む)」、「事務機器類」、「機械工具類」、「道具類(家具、じゅう器、運動用具、楽器、磁気記録媒体等)」、「皮革・ゴム製品類(カバン、靴等)」、「書籍」、「金券類(乗車券等含む)」。
許可を得ずに古物営業をした場合は、3年以下の懲役又は100万円以下の罰金(第31条1項1号)になる。また、許可を受けてから6ヶ月以内に営業を開始せず、又は引き続き6ヶ月以上営業を休止した場合等(第6条1項3号)、許可を受けた者が3ヶ月以上所在不明の場合(同4号)は、許可が取り消される場合もある。「許可を取っておくだけ」は、出来ない仕組みである。