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Introduction


 メスバウア分光の独自の計測技術を開発し、物質生命科学の様々な分野に原子スケールの情報を提供することを研究の中心に置いてきました。1983年から8年間、西ベルリンとウィーンに滞在し、ドイツ・オーストリアの物理研究者の研究プロジェクトに従事し、冷戦末期のヨーロッパで起こった歴史的変化も彼らと共に経験しています。
 わが国では、メスバウア分光は1960年代から鉄鋼材料中のマルテンサイト+オーステナイト微細組織や炭素原子の析出・相分離,格子欠陥などのパイオニア的研究が活発に行われてきましたが「電子顕微鏡」が金属合金材料の中心的な評価法になるにつれて「メスバウア分光」の研究者も少なくなっています.いくつかの原因が考えられますが、「メスバウア分光」はスペクトル解析を中心とする「核分光」として様々な研究成果を残していますが、「画像化技術」の開発が遅れたこと、さらには「放射性同位元素」を利用するための管理区域の設定が必要なことなどが、この評価技術の普及を妨げてきたように思えます。
 最近、JST機器開発を基礎に、「メスバウア分光カメラ」の実現が確実になりつつあり,「オペランド観察」の計測法として極めて重要な手法となっています.すなわち,メスバウア分光は観測と電子・X線・光照射による系への攪乱を完璧に分離できる唯一の手法で、攪乱直後から数10ナノ秒の時間スケールで動的現象を追跡することも可能です。しかも,計測する放射線を電子,6keV‐X線,14.4keV-γ線を選ぶことで異なる観測深さの原子スケール情報を獲得できるのです.このようなメスバウア分光の特徴を正しく次世代に引継ぐことが私の最後のミッションです。現在計画中の「メスバウア分光カメラ」プロジェクトは静岡理工科大学,京都大学・Spring-8, ドイツDESYの若手研究者が参画する研究テーマで、彼らが自らの研究対象の「オペランド観察」に従事できるようにプロジェクトグループを形成しています.また,日本のものつくり現場における「欠陥制御」や「金型破壊」のモニターとして「メスバウア分光カメラ」を普及したいと考えています.

2020年2月25日

静岡理工科大学・物質生命科学科 吉田 豊