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理工学部

界面物理化学研究室


山﨑誠志 教授
Yamazaki Satoshi

【学位】博士(工学)(豊橋技術科学大学)

  • 1996年 豊橋技術科学大学大学院工学研究科 博士課程修了
  • 1996年 静岡理工科大学 助手(理工学部)
  • 2003年 静岡理工科大学 講師(理工学部)
  • 2009年 静岡理工科大学 准教授(理工学部)
  • 2017年 現職

「環境問題に挑戦する新素材 ~ゼオライト~」

研究テーマ

ゼオライト合成、環境汚染物質の吸着除去と分解挙動

“環境問題を化学の力で解決する”をキーワードに研究しています。本研究室では、ゼオライトという吸着特性や触媒作用など優れた性質を持つ材料を使い、温室効果ガスや環境汚染物質の吸着、さらにバイオディーゼル燃料の合成などのテーマに取り組んでいます。

専門分野

無機材料化学、物理化学

研究内容

  • ゼオライトを用いた環境ホルモンの吸着除去
  • 地球温暖化ガスの再生・再利用に関する研究
  • 固体核磁気共鳴による天然ゼオライトの構造解析
  • ゼオライト薄膜の合成と特性評価
  • 機能性ゼオライトの調製と特性評価

ゼオライトとは

ゼオライトの構造
ゼオライトは、左図のようにケイ素(Si)とアルミニウム(Al)が酸素(O)を介して結合した構造をしています。骨格構造中では、アルミニウム(+3価)とケイ素(+4価)が酸素(-2価)を互いに共有するため、ケイ素の周りは電気的に中性となり、アルミニウムの周りは-1価となります。この負電荷を補償するために、骨格中に陽イオン(例えばNa+)が必要となります。この陽イオンは、他の金属イオン(H+, K+, Ca2+・・・など)と容易に交換できます。この陽イオンの種類によって、ゼオライトに機能性をもたせることができるようになります。
また、ゼオライトの骨格は、Si-O-Al-O-Siの構造が三次元的に組合わさることによって形成されます。右図は代表的なゼオライトであるA型ゼオライトの骨格構造(線の交わったところがSiあるいはAl)ですが、あたかもビルディングの骨組みのように骨格ができます。この三次元的な組合せによってさまざまな形態の骨格ができ、数百種類のゼオライトの仲間が世の中には存在します。また、骨格中には分子レベルの穴(細孔)が開き、水や有機分子などいろいろな分子を骨格中に取り込む(吸着)ことができます。
ゼオライトの性質と一般的な用途
ゼオライトは、陽イオン交換能・触媒能・吸着能などの性質を有することが知られており、私たちの身近でも良く使われています
陽イオン交換能を利用した例
湖沼や海の汚染の原因として問題となったリン化合物の代わりに洗濯洗剤に加えられたのがゼオライトです。洗濯洗剤の成分表に記載されているアルミノケイ酸塩というのがゼオライトです。洗濯槽の中では、汗などに含まれるCa2+のために硬水に近い状態になり洗剤の性能を低下させます。Na+を含むゼオライトを洗剤に加えることで、Na+とCa2+のイオン交換が起こり、軟水となって洗剤の能力低下を防ぎます。
触媒能を利用した例
・メタノールからガソリンを合成
Mobilの開発したZSM-5というゼオライトは、メタノールを原料としてガソリン成分を合成することができます。ニュージーランドでは、メタンガスは豊富に産出しますが、油はとれないために、このゼオライトを用いてガソリンの合成を行っています。
吸着能を利用した例
・室内の湿度コントロール
ゼオライトの仲間には、吸湿性に優れた(水を良く吸着する)ものがあります。ゼオライトは周囲の環境によって水を吸ったり吐いたりします。このゼオライトを壁紙などに混ぜることにより湿度を一定に保つことができます。
【ゼオライト関連の出版物】
  • ゼオライト-基礎と応用:原 伸宜, 高橋 浩 編, 講談社サイエンティフィク
  • ゼオライトの科学と応用:富永博夫 編, 講談社サイエンティフィク
  • コロイド科学 I 14章:日本化学会編, 東京化学同人

研究クローズアップ

ナノ材料で地球温暖化を防ぐ
現在開発している機能性を持たせたゼオライトは、温室効果ガスを吸着除去することができます。さらに、触媒機能を持たせることに成功すれば、地球温暖化のもとになる物質を分解・無害化することができます。

リンク

・大学関係
富山高等工業専門学校物質工学系 河合研究室(修飾ゼオライトや活性炭素繊維などの吸着特性を調べている研究室です。)
・学会関係
日本化学会(化学関係の専門情報から高校生向けの情報まで色々掲載されています。)
日本吸着学会(吸着を研究する研究者・技術者のための学会です。)