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活動状況

物質生命科学科│小土橋陽平教授らの研究成果がACS Applied Nano Materials誌に掲載されました


本学理工学部物質生命科学科の小土橋 陽平 教授、内田 遥樹(2024年度卒 修士)、齋藤 明広 教授が、ナノ柱のランダムな凝集が抗菌性を強化することを発見しました。本研究成果は、ACS Applied Nano Materials誌に掲載されました。

抗生物質の頻繁な使用による薬剤耐性(AMR)を持つ菌の出現が世界中で深刻な問題となっています。従来の抗生物質の必要量を減らすことができる代替品の開発は、薬剤耐性菌を克服する為の重要な要素です。抗生物質の代替品のひとつとして、ナノ柱構造による細菌細胞の伸張や物理的な破壊が注目されています。しかしながら、ナノ柱のアスペクト比(ここでは直径と高さの比)や幅、表面性質、硬さ、乾燥過程など、依然としてナノ柱構造の抗菌活性を高める要因については理解が不十分です。
著者らは、アスペクト比が大きな柔らかいナノ柱ハイドロゲルが、水の蒸発を引き金にして、不均一でよりランダム性が高い凝集を構築し、見かけ上様々な大きさを有していることを偶然に発見しました。本研究では、乾燥を引き金とするナノ柱ハイドロゲルのよりランダム性が高い凝集が、細菌細胞の形状を大きく歪め、グラム陰性菌およびグラム陽性菌に対する抗菌性を高めることを明らかにしました。黄色ブドウ球菌の場合、平坦なハイドロゲルと比較して、ランダム性の高い凝集を持つナノ柱ハイドロゲルに捕捉された細菌細胞の真円度(Circularity)は約2.7倍歪み、細菌生存率は約50%にまで減少しました。
これらの発見は、ナノ柱の抗菌活性の要因として新しく「ランダム性」を提案します。また、ナノ柱の調製に使用した基盤を再利用し、酸化環境にてナノ柱を分解することで、ナノ材料の大面積化や分解・リサイクルといった課題への解決策も報告しています。

本研究の成果である乾燥を引き金として抗菌効果を発揮するナノ柱は、創傷被覆材や病院内の日常的に不衛生な液体や洗浄用の液体に接触する医療機器の被覆材などへの応用が期待されます。今後の課題として1.抗菌効果の最適化、2.大面積での作成、3.リサイクルシステムの構築が挙げられます。これらを解決し10年以内での製品化を目指します。

本研究の一部は、日本学術振興会(JSPS)科研費(23K11817)の助成を受けて行われました。本研究の一部は、静岡理工科大学 先端機器分析センターの設備を使用して実施されました。心より感謝申し上げます。
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