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活動状況

物質生命科学科│小土橋陽平教授らの研究成果がACS Applied Nano Materials誌に掲載されました


本学 理工学部 物質生命科学科の小土橋 陽平 教授、池田 塁さん(修士2年)が、温度と塩濃度を認識して抗菌性の発揮と倒した細菌の剥離を実現するナノ柱ハイドロゲルを開発することに成功しました。本研究成果は、ACS Applied Nano Materials誌に掲載されました。

皮膚は人体の中で最大の臓器であり、外傷や外科手術、広範囲の熱傷などによって引き起こされる創傷は細菌感染の原因となり、世界共通の公衆衛生上における大きな懸念事項です。また、細菌感染に対する抗生物質の過剰な使用は、細菌の抗生物質に対する感受性を著しく低下させ、薬剤耐性(AMR)を持つ細菌の出現につながります。創傷部位を創傷被覆材(ドレッシング材)で覆うことは、患部の保護や滲出液の吸収、炎症過程の短縮、治癒の促進の為に推奨されています。

しかしながら、既存の創傷被覆材の多くは抗菌性を有していません。銀などの金属(または金属イオン)を組み込んだ抗菌性創傷被覆材は、金属アレルギーや環境中への金属の流出が懸念されています。著者らはこれまでに、セミの翅のナノ構造を模倣したナノ柱ハイドロゲルを開発し、その特徴的な抗菌効果を報告してきました。開発したナノ柱ハイドロゲルは親水的かつ柔軟であり、細菌細胞を物理的に破壊することで抗菌効果を発揮します。AMRを持つ細菌のひとつであるメチシリン耐性黄色ブドウ球菌を含む、種々の細菌に対し抗菌性を示しました。細菌細胞を物理的に破壊する為、AMRを生じにくいことも特徴です。

一方で、ナノ柱材料の共通の課題として、倒した細菌のナノ柱からの剥離が挙げられます。倒された細菌やその残骸はナノ構造に容易に蓄積し、抗菌性を著しく低下させます。 この課題を解決する為、本研究では、ナノ柱ハイドロゲルの表面に、温度応答性の高分子を修飾しました。修飾した高分子は、温度や塩濃度により親水的な性質と疎水的な性質を可逆的に変化させることができます。細菌は親水的な表面には吸着しにくく、疎水的な表面には吸着しやすいことが知られています。体温付近の塩化ナトリウム水溶液中にて、ナノ柱ハイドロゲルは疎水的な性質に傾き、抗菌性を発揮しました。条件により、大腸菌への抗菌効率は約90%に達します。一方で、冷水(4℃)の条件では、ナノ柱ハイドロゲルは親水的な性質に傾き、吸着した細菌が剥離しました。 これらの結果は、開発したナノ柱ハイドロゲルの抗菌特性と細菌細胞の吸脱着が、温度と塩濃度を変化させることで制御できることを示唆しています。今後は、創傷被覆材や医療機器の被覆材などへの実用化を目指します。

本研究の一部は、日本学術振興会(JSPS)科研費(23K11817)の助成を受けて行われました。本研究の一部は、静岡理工科大学 先端機器分析センターの設備を使用して実施されました。
心より感謝申し上げます。
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