研究室の挑戦

〔建築×IoT=新しいテクノロジー〕究極の建物環境を実現し社会に貢献する

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建築環境(設備)研究室 担当:鍋島佑基講師

〔建築×IoT=新しいテクノロジー〕究極の建物環境を実現し社会に貢献する
 

2015 年のパリ協定の採択により、2020 年以降の地球温暖化対策に向けたCO 2 削減の枠組みが、世界196ヶ国で取り交わされました。
住宅分野においては、ZEH(ゼロエネルギーハウス)の普及を政府目標として掲げるなど、“設備という機能性”に高い注目が集まっています。
このような背景から、建築環境(設備)研究室では「省エネルギーかつ快適な建物空間の実現」をテーマに、IoT( モノのインターネット)を活用した空調自動化による快適・省エネ運転を開発中。
最終的にはコンシューマーが導入可能な製品( ユニット)に仕上げ、市場投入を目指します。




建築をつなぐテクノロジーを開発する


快適性、省エネ性、環境性が共存した建築物とは何か
建築学の中でも建築設備をテーマにした研究室です。設備とは主に、換気装置やエアコン、上下水道などを指し、広域では外壁や屋上も含みます。簡単にいうと、建築物の骨格やデザイン以外のすべてが設備であり、建築物を構成する3本柱の1 つと言えるでしょう。研究室では、その設備の中でも“ 空調”に着目し、「デシカント(除湿)空調システム」の研究開発に取り組んでいます。キーワードは、快適性、省エネ性、そして環境性。これらを共存させることができるシステムを開発することで、人と環境に負担のないサスティナブル( 持続可能な)な建築物の実現に貢献することが私たちのミッションです。





スマート空調リモコンの汎用化で実現する未来とは?

省エネルギーと快適空間、相反するテーマの共存
「賢く、気の利いた家」の登場によって、私たちの暮らしはどのように変化していくのでしょうか。例えば、自宅で映画を観ようとすると自動で照明の照度を下げてくれる、料理をしようとすると調味料を量ってくれる、寒い日は高めの湯温で浴槽にお湯を溜めてくれる、そんな暮らしに変化します。ポイントは、映画を観ようとしている、料理をしようとしているという人間のリアルな行動を察知して制御するということ。さらに、使用者の行動パターンを学習すると、帰宅時間が遅い日は、時短料理を提案する、シャワー浴を予測し浴槽にお湯を溜めないといった判断ができるようにもなります。機械の制御に人間が合わせるのではなく、人間の行動に機械が寄り添う。まるで専属のAI執事がつくような、快適で心地よい暮らしが実現するのです。また、電化製品をネットワーク化することで電力マネジメントが可能になり、電力の節約・一定化・効率化の促進にもつながります。例えば、人間の行動を察知して今重要ではない家電の電力を下げたり、電力制限値を超えないように電化製品への供給量をコントロールしたり。太陽光発電システムを搭載している場合は、余っている電力を無駄なく消費することも可能です。現在、余剰電力は電力会社が買い取る仕組みですが、その期間はFIT(固定価格買取制度)によって10年間に限定されています。実は、太陽光発電システムの普及により、天候や時間帯によってはむしろ電力会社に電力が余っているのが現状です。こうした背景もあり、これからは家レベルで電力をマネジメントしていくことが求められ、「賢く、気の利いた家」への期待も高まっています。

IoTとクラウド管理が生み出す多様な機能
スマート空調リモコンの実現は、私たちの暮らしをどのように変えるのでしょうか。例えば住宅であれば、壁にスイッチが1つもなく、人が移動するだけで環境を快適化してくれる、そんな未来です。さらにデータをクラウド管理すれば、安否確認などの見守りサービスとしても機能するでしょう。ネットワークは特定の住宅同士、工場や校舎単位、町全体など可能性は未知数です。そして省エネによってコスト削減が図れ、不動産価値も高まります。デシカント空調システムは現在、大手ゼネコンなどでは一部実用化されていますが、独占技術であるうえ高価なため、一般に使用されるまでに至っていません。私たちが目指すのは、誰もが気軽に購入・活用できる使い勝手のよいシステムの製品化。研究で導き出した最適解が、きっと世の中にとって価値あるものだという信念で進めています。研究室では、自ら考えて成果を生むトレーニングを積むことで、社会に役立つ人材を育成しています。また、海外のエンジニアと交流する機会もあるため、英語によるコミュニケーション能力を磨くことも可能です。チャレンジ精神のある方との出会いに期待しています。
 

デシカントシステムの心臓部である除湿ローター

住環境精密測定のための高精度センサー群
   
 
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