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「全日本学生フォーミュラ大会への挑戦」〜SIST Formula Project〜

2018.09.27
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2018年9月4日(火)〜8日(土)、袋井市にある小笠山総合運動公園エコパスタジアムにて開催された「第16回全日本学生フォーミュラ大会」。
 
ICV(ガソリンエンジン車)とEV(電気自動車)の2部門があり、チーム発足13年目を迎える静岡理工科大学の学生サークル「SISTフォーミュラプロジェクト(SFP)」は、先輩からの伝統を受け継ぎ、両部門への出場を果たした。
 
総合順位 ICV車は24位、日本自動車工業会会長賞、最軽量化賞3位を獲得したのに対してEV車は83位(EV部門11位)。明暗を分ける大会結果となった。

※2018年度マシン。手前がTCV車、奥がEV車。
 


ICV車の開発、軽量化と車両挙動の安定化への挑戦。
 

今年のマシンコンセプトは「The Circuit Emperor〜速さを制御する〜」。
 
ICV車が目指したのは、上位6チームが出場できるエンデュランスファイナルへの出場。
惜しくもファイナル出場は逃したものの、エンデュランス部門で8位と健闘した。

 ※大会当日の様子
 
過給器(ターボ)付エンジンから通常(NA)エンジンへと変更した昨年、パワーよりも軽量化を重視する設計思想は今年も継続されている。今年度はフレームのパイプ本数を減らし、更に車両全長を短くすることで車体の軽量化を昨年以上に推し進めた。
 
エンジンと車両フレームはそれぞれ質量が約40kgある。配置はそれぞれのバランスを考慮する必要があり、限られたスペースにどのように載せていくか、担当者間の連携が重要となる。エンジンとフレームの連結部分の設計を担当する「ICVパワートレイン班」と主に車両の骨格となるフレームや外装設計を担当する「ボディ班」双方の連携。そこから速さを追及する「軽さ」は生み出された。

※それぞれの担当に分かれて作業を進めていく
 

軽量化に加えて、今年の新たな取り組みが車両挙動の安定化だ。
この課題には、主に「インテリア班」「サスペンション(※1)班」が挑んだ。
 
インテリア班はステアリングシステム、ハンドル、ペダルなど、内装全般を担当。
今年度は、よりドライバーの操作性向上を目指し、ドライバーの体型を型取ってシートを設計・制作。乗り心地は格段にあがったという。
 
サスペンション班も部員同士で意見を出し合い、デファレンシャルギア(※2)を改良、ダンパー(※3)も含めてサスペンション全体の設計も見直した。
 
「今年度は走行練習時間が多めに取れたので様々なセッティングを試すことができ、データが複数取れたのが良かった。次年度は、天候に合わせたデータも取れるようにしていきたい」と話すのは、サスペンション班の宿島圭人さん(機械工学科2年)。
 
※1)サスペンションとは・・・
衝動や振動を吸収して車体の操縦安定性を向上させる仕組全体。ダンパーはサスペンションを構成する部品。
※2)デファレンシャルギアとは・・・
コーナリンク時、左右駆動輪の回転差を吸収し、スムーズな旋回を実現するための装置。
※3)ダンパーとは・・・
別名、ショックアブソーバー。路面からの振動を減衰させる装置。

 


※ダンパーやデファレンシャルギア等を昨年度から変更

さらに、ただ走るためのマシンを作るのではなく、ドライバーと意見を交わし、足回りの微調整をするセッティングにも力を入れた。
 
その結果、「昨年度のマシンより、格段に車両挙動が安定しました。かなり助けられたと思います」と、ドライバーを兼任したチームリーダーの杉浦聖大さん(機械工学科4年)も実感を語る。
 


大会前日のトラブル。挫折から学べること
 

EV車の目標は、動的競技全審査種目での完走。
 
ところが、大会前日にインバーター(※4)の損傷トラブルが発生。
修理・交換は容易ではなく、すべての動的審査を断念せざるを得なかった。
 
EV車のモータ制御システム作りを担当する「EVパワートレイン班」メンバーは「テスト走行ではICVより良いタイムを出しています。制作したモータを搭載したマシンが実際に動いているところを見て、より理解が深まりました。今回のトラブルの原因も把握できているので次年度はさらに技術を高めていきたいです」と前向きである。


※4)モータの電源周波数を変えモータの回転数を制御するために必要な装置

※製作中のEV車
 


大会はタイムやマシンの性能を競うだけではない。
 
販売することを前提にしたマシン開発は、リアルな自動車開発の実践。
設計にかかるコスト計算や販売シミュレーションも審査対象となる。

※審査対象は多岐にわたり、膨大な資料の提出が求められる。

そのためにも、各班がそれぞれの作業を行うことはもちろん、チーム同士の連携も重要となる。
大会当日も全員が自分の仕事を全うしながらドライバーをサポートし、チーム一丸となって臨んでいるのだ。

 


「チームで動く大切さも大変さも学び、活動を通して粘り強くなりました。作業場があって、スポンサーからの支援もあって、現場で働くOBにも支えられている…恵まれた環境で実際のマシンづくりを体験できるのはとてもやりがいがありました」と、杉浦さんも4年間の活動を振り返る。

※SPFはチーム一丸となって大会へ臨んでいる

「サーキット上で最速のマシンをつくる」
SFPの夢は、これからも継承されていく。



 
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