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大容量通信インフラを支える 超高速通信技術を生み出す~ポスト5Gを担う次世代無線通信デバイスの開発~【本良研究室】

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ワイヤレス情報通信研究室 担当:本良瑞樹 准教授

大容量通信インフラを支える超高速通信技術を生み出す
~ポスト5Gを担う次世代無線通信デバイスの開発~
 

日常生活に欠かせない存在の携帯電話やスマートフォン。2020年に通信システム「5G」のサービスが開始されて大きな話題となった。 1970~80年代に誕生した第1世代の携帯電話では音声のみでやり取りをしていたことを考えると、 スマートフォンにも用いられている無線通信技術は、目覚ましい進化を遂げてきた。 メールや写真、動画の送受信、Web会議、キャッシュレス決済、ゲームまでもができるようになり やり取りをする情報量が飛躍的に増加し、通信速度も高速化した。 新たな無線通信技術が誕生するたびに高速・大容量の通信が求められる流れはこの先も当分は変わらないだろう。

より速く、より多く5Gの5倍以上のデータ通信


本良先生が率いる「ワイヤレス情報通信研究室」では、無線通信技術の開発研究を
している。サービスが開始されたばかりの5Gだが、大学での基礎研究という意味では、実はほとんどが完了している。そのため研究対象は「ポスト5G」、将来「6G」と呼ばれるであろう次世代の無線通信技術の開発だ。
ネットワーク通信は、物流に例えることができる。トラックにデータを積んで道路を走り、受け手へ届けるイメージだ。道路(専門用語で「帯域幅」)を広げて、輸送するトラックを増やせば増やすほど、速く、多くのデータを移動させられるという仕組みである。そして当初、「ポスト5G」の研究を始めようとしたときに問題が発生した。
電波で通信するものには、携帯電話やスマートフォン以外にも、テレビやラジオ、カーナビなどさまざまなものがある。お互いの通信を邪魔しないように、それぞれが使う電波の周波数がルールで決められていた。しかし、道路を広げて通信速度を上げてきた携帯電話やスマートフォンは、割り当てられた周波数で、今以上に道路を広げることが難しくなったのだ。
そこで現在取り組んでいるのが、まだ使われていない周波数で、広い道路をつくることだ。高速・大容量通信が特徴の今の5Gよりも5倍以上速く、より多くのデータを運ぶという、途方もない目標だ。

高性能・超小型の集積回路とアンテナ開発
そこで困難な壁となったのが、高性能・超小型の集積回路の開発だ。スマートフォンに搭載される集積回路のチップサイズは5mm角以下、無線通信部に利用できるのはさらに小さく1mm角以下と想定される。ここに、細いところでは数十nm(ナノメートル=100万分の1ミリ)、太いところでも10μm(マイクロメートル=1,000分の1ミリ)の配線で構成された通信用回路の全てを載せなければならない。専用ソフトで設計図を何度も作成し、外部のICメーカーに製作を依頼して、高性能・超小型の集積回路が完成した。現時点では、なんとか目標とする周波数付近にたどり着いたが、ま
だ道半ば。広い道路でデータを運ぶためには、これからさまざまなテストが必要だ。
さらに5Gから、電波送信に新しい方法が採用された。これまでは基地局から広範囲に向けて電波を送信する方法だったが、無駄が多かった。もっと効率を良くするために、人に向かってピンポイントで電波を送る方法に変わったのだ。これは複数のとても小さなアンテナを並べて、電波を飛ばす向きを細かく調整するというもの。その結果、ポスト5Gのスマートフォンでは、縦横3cmぐらいの中に小さなアンテナを256個も内蔵しなくてはならないという新たな課題も生まれている。


この研究室では次世代無線通信に用いる集積回路の作成などをおこなっている。


誰もやっていない。だから面白い。
 

困難で誰もやっていない、そこが研究の面白いところ

世の中が5Gの普及に力を入れている段階で、ポスト5Gの研究に移行できる理由は、大学は時間を掛けた研究が許される環境だからだ。また、以前と比べ早期に商材とならない分野へ研究費を投じる企業が少なくなったことも一因にある。5Gの5倍に相当する高速・大容量を可能とする技術の
開発という、類を見ない研究は、まだ商材になる確約がないため企業も手を出せない領域だ。それでも「難しいという気持ちはあるけれど、無線通信の力で社会をより良くするためには、誰かがやらないといけない。その反対に、誰もやっていないからこ
その面白さもあるので、研究室で扱っている。将来的には“有線よりも速い”無線通信を安定して使える未来になれば良い」と本良先生は楽しそうに語った。
 
時代の先を行く研究開発をしてみたい
大石 匠さん
理工学部 電気電子工学科(静岡県立浜松工業高等学校出身)

近い将来に必要となる、5Gに代わる新たな次世代無線通信システムの、
アンテナや高周波回路について研究をおこなっています。
安定接続が可能になれば、医療などスマートフォン以外での活用も視野に入れています。
主体的に探究に取り組むことで、課題解決能力が鍛えられていると実感しています。
   
 
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