【人間情報デザイン学科 工藤司】 コンピュータでやってみたいこと

 8月に北海道の利尻島で研究会がありました.小さな郷土資料館があったので,何人かで行ってみるとタイガー計算器が展示してあり,昔,使っていた参加者がなつかしそうにいろいろと説明してくれました.レバーで数字を置いて,ハンドルを回して計算するそうで,たくさんの計算をするのは大変だったようです.先端技術の発表者がレバーを回している姿を想像すると何かアンバランスでしたが,コンピュータが普及する以前の技術者には当たり前の姿だったのでしょう.

 思い返してみると,私が関わってからだけでも,コンピュータはずいぶん変化してきたと思います.私の最初の仕事(1980年代)はスーパーコンピュータの開発でしたが,当時は大型のコンピュータを皆で使用するのが一般的で,まして異なるコンピュータとの通信は大変な仕事でした.ところが,現在では,当時のスーパーコンピュータを上回る性能のパソコンやタブレット端末が手頃な価格で購入できて,個人がインターネットで世界中のWebサイトに自由にアクセスできるようになっています.また,家電でも車でも,コンピュータが組み込まれて制御しています.1965年に提唱されたムーアの法則(「半導体の集積密度は18~24ヶ月で倍増する」という経験則)は現在も健在なようなので,今後もコンピュータの小型化や高性能化が進みいろいろな可能性が開けそうですね.

 ところで,コンピュータや情報システムはこれからどのように進化していくのでしょう.学会ではいろいろな研究者が集まるので,よく話題になります.最近,車両に関する情報技術の研究者と,車は完全な自動運転で走るようになるか話題になりました.結論から言うと,基礎的な研究は進んでいるものの,天候や突発的な路面の変化,周囲の人や車への対応など,やはり街中で走るには多くの壁があるようです.『ただし,1980年代に行われた人工知能の研究(第五世代コンピュータ)は,「人間と同様に考えるコンピュータ」という目標は達成していないものの,現在では自動翻訳や,コンピュータとプロ棋士の将棋対局など,特定の応用分野では実用化されている.同様に,自動運転も理想から現実に移り,実用化可能な応用分野から普及していくだろう』,というのが大方の見方のようでした.

 ちなみに,この記事はデスクトップパソコンで入力しています.近年では,ネット上のビッグデータをはじめ入力済のデータの活用や分析が容易にできるようになっていますが,キーボードによる入力の方法は1980年代と同じです(ずいぶん楽にはなりましたが).10年後にブログを書くときも同じことをしているのかな,と思わず考えてしまいました.理想は「こんな本が書きたい」というと自動的に考えて本を作ってくれるシステムでしょう.ただし,上記の通り今すぐには難しそうです.まずは,データの入力を効率的に行う研究なども手掛けて,もっと仕事を楽にしたいものです.

 皆さんがコンピュータを使ってやってみたいことは,どんなことでしょうか?